2026年7月8日(水)

都市vs地方 

2026年7月8日

出生の状況を示す人口動態統計

 人口に関わるもう一つの重要な統計は、26年6月3日に公表された25年の『人口動態統計』である。こちらは、出生や死亡など人口増減の要因を毎月・毎年示すフロー統計であり、速報性を有する。

 特に注目される指標が、出生に関わる「合計特殊出生率」である。通常、出生率は、その地域の人口1000人当たりの出生数を示す。この指標でも出生動向を一定程度把握できるが、出産行動には前年に子どもをもうけた人が翌年には出産しないことや、出産期の女性数が年によって変動することなど、短期的な要因が作用する。そのため、通常の出生率は出生の一時点の状況を示す性格が強い。

 これに対して、15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計し、仮想的な女性の一生を想定して、1人の女性が生涯に産むと考えられる子どもの数を算出したものが「合計特殊出生率」である。この統計の定義からすれば、女性1人(母親)から2人の子どもが生まれる場合、親世代と子世代の人口規模が概ね維持されることになる。

 今回公表された25年の全国の合計特殊出生率は1.14であり、2を大きく下回っている。このことは、日本の人口が世代を追うごとに縮小する状態にあることを示している。表2には、都道府県別の合計特殊出生率を示している。

 表2から、沖縄県は合計特殊出生率が全国で最も高く、表1に示した沖縄県の5年間のプラスの人口変化率には出生が一定程度寄与していると考えられる。これに対して、東京都の合計特殊出生率は全国で最も低い。したがって、東京都では少子化により出生数が少ない分、地方からの人口流入によって補われていると考えられる。

さらに進む人口縮小

 25年国勢調査の「速報」に続いて、今後「確報」として年齢別人口や日本人・外国人の内訳などが集計・公表されれば、それを基礎として、国立社会保障・人口問題研究所により『日本の将来推計人口』が公表される。100年先までの人口を推計する作業には一定の時間を要するため、公表は28年頃になると考えられる。そこで、現時点で利用可能な将来人口推計として、20年国勢調査に基づき23年に公表された『日本の将来推計人口(令和5年推計)』を用い、今後の日本人口の縮小過程を確認する。

 日本の将来推計人口には、全国版と都道府県・市町村の地域別版がある。さらに地域別版には、(1)現在の地域間人口移動が継続すると仮定するケース(以下「通常推計」という)と、(2)地域間人口移動が起こらないと仮定するケース(いわゆる「封鎖人口」)がある。以下では、この二つのケースを、東京都の人口シェアに注目して比較する。

 まず、25年の日本の総人口は1億2300万人であり、そのうち東京都が占めるシェアは11.6%であった。通常推計によれば、50年に東京都が占めるシェアは13.8%へ上昇する。これは、日本全体の人口が減少し続ける中でも、東京都への人口移動が継続すると想定されているためである。ただし、日本の総人口は1億469万人まで減少し、25年から約2000万人近く縮小する。

 これに対して、地域間および海外からの人口移動をゼロと仮定した場合、東京都の人口シェアは11.7%となり、通常推計に比べて2ポイント以上低くなる。地域間人口移動がゼロであるため、この結果は、東京都内での出生・死亡による自然増減のみを反映したものと考えられる。

 このようにみると、東京都の人口規模の維持・拡大は、地方からの人口移動によって支えられていることがわかる。


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