「大都市にもっと公共投資を」という話を聞いた読者の中には「大都市には多数の建物や高速道路、地下鉄と、地方よりも何倍も資本があって既に恵まれているではないか」と不満に思う人もおられるであろう。確かに、東京には資本が多いように見える。しかし、それは民間資本の多さによるところが大きい。
図6は、22年の全国の公的資本形成と民間資本形成の比率を示している。これをみると、大都市を含む都府県は民間投資に対して公共投資が小さいことがわかる。
これまでの研究で、
この考え方のイメージを図7に示す。次世代育成に比較優位を持つ地方で出生が伸びるよう所得を再分配し、生産面で優位性の高い都市部に公共投資を再配分することで、国際貿易における分業と同様に、国内においても双方に便益のある関係を構築できる。
政府は戦略的投資を
近時、6月24日の経済財政諮問会議・日本成長戦略会議において、高市内閣は、戦略17分野の「主要な製品・技術等」における官民投資額を40年までに370兆円とする方針を表明した。これと関連して、地域未来戦略で発表された全国10地域の地域別一覧が図7である。
全国総花的である印象は否めない。特に、多くの地域で半導体関連投資が予定されている。確かに、今後の社会・経済戦略において半導体およびAIは重要な要素であるといえる。
図7に示した都市と地方の関係は、1960年代の高度経済成長期の日本の姿に類似する面がある。この時期には、地方から大都市圏へ「金の卵」と呼ばれた大量の人口流入があり、日本は年率10%を超える実質経済成長を記録した(25年度の経済成長は実質で0.8%しかなかった)。当時は大都市に流入した労働力に支えられる一方で、都市から地方の親元へ「仕送り」がなされた歴史も想起される。
当時と現在の最も大きな違いは、現在の日本が人口減少過程に直面している点である。だからこそ、今後の日本では、限られた、あるいは縮減する資源を効率的に利用することが求められる。



