際立った例外は、アルゼンチンの型破りなリバタリアン(自由至上主義者)のミレイだ。彼は2023年の就任以来、劇的な歳出削減を断行したが、10月の議会選挙では所属政党の勢力を拡大させた。しかし、アルゼンチンの有権者が彼の大胆な手法を受け入れた背景には、インフレ率が200%を超えるという、彼が引き継いだ極めて深刻な経済状況があった。
むしろ、直近の選挙が示したのは、右傾化の定着というよりは、極端な政治的分断である。最終的にデラエスプリエジャは1ポイント未満の僅差で勝利したが、これはコロンビアの現代史上最も僅差での勝利となった。
ペルーの大統領選も接戦となっており、6月7日の決選投票から2週間半が経過した今も、最後の票の集計が続いており、勝者はまだ確定していない(注:7月3日にペルーの選管はケイコ・フジモリの当選を発表)。
これら二つの選挙結果は、右派の波が押し寄せていることを示すというより、両国が政治的に激しく分断されていることを物語っている。どちらの国も、今後容易に政治的膠着状態に陥る可能性がある。
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振り子が右に振れている
確かに、この社説が言うように、接戦となる選挙でたまたま右派が僅差で勝利するケースが続いているに過ぎないと見ることもでき、そのようなケースでは、大統領選挙に勝ったからといって安定した政権が運営できる保証はない。しかし、そもそも、これはラテンアメリカ諸国の選挙制度が、大統領選挙と議会選挙の二元論的に並列しているためであるとも考えられる。
大統領は第1回投票の上位2者の決選投票により決まるので、候補者個人についての人気投票の色合いが強く、国民はいずれかの候補の選択を迫られるので国論は分断する宿命にある。しかし、当選した候補者がイデオロギー的に国民の信任を得たとまでは言い難いケースも多い。大統領の与党が議会で多数派を占めることはほとんどない。
しかし、今般注目すべきは、やはり、このような政治風土の下で僅差が多いとはいえ、過去15回の大統領選挙で右派または中道右派候補が12回勝利したことであり、これは単なる偶然ではない。さかのぼれば過去16番目から30番目の選挙では、左派または中道左派が10回程度勝利しており、ピンク・タイド(左傾化の潮流)と言われた時期もあり、現在はその反動で振り子が右に振れているわけである。
パンデミック後の経済停滞、左派政権下での高インフレや財政赤字拡大等に政権が効果的に対応できず、特に、犯罪組織や移民問題による治安の悪化が、有権者にとって最も重要な争点となり、左派の現職に対する不信と右派の強いリーダーに対する期待感の高まりにより、ポピュリスト的右派候補に有利に働いた点は共通している。
