2026年7月22日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年7月22日

 敵対国間の協力に関する情報を収集・分析ならびに共有すること、ある敵対国が別の敵対国からの支援によって軍事的優位性を得た場合に備えた対抗策を策定することも必要だ。米国がいずれか一国に対して軍事行動を起こした際に、互いのために直接介入する可能性は極めて低い。

 しかし、4カ国の連携は、現代史において最も重要かつ深刻な権威主義国家間の軍事的な統合の一つであることに変わりはない。しかも、それは既存の「ルールに基づく国際秩序」が崩壊し、大規模な戦争のリスクが高まっている時期に生じている事態なのである。

* * *

「同盟に至るか」ではない

 国家間の協力関係の深さを測るには、同盟条約の有無のみでなく、協力関係が実質的にどのような戦略的効果を生み出しているかを見なければならない。その観点から、今日の中露イラン北朝鮮4カ国の協力関係を見るならば、公式の同盟関係に匹敵する、あるいはそれ以上の実体が形成されつつあり、その点を直視して対策をとるべきだ。これが本件記事におけるトーマス・ライトの主張であり、賛同できる。

 かつて中露協力の進展が顕著になり出した頃、「中露協力は今後も進むであろうが同盟関係に至ることはない」との解説を耳にすることが多かった。しかしこの解説は、「同盟関係」とは具体的に何を意味するのかが明らかでなければ、ほとんど意味のないものだ。

 同盟関係といっても、第三国から攻撃を受けた場合の相互防衛義務を定めたものもあれば、片務的な義務に止まるもの、さらには防衛義務の内容が曖昧なもの等、様々な形があり得る。「同盟関係に至ることはない」との認識が、対中露戦略を策定する上である種の「安心材料」になっていたとすれば、我々は大きな間違いを犯していたと言わなければならない。

 中露間の協力は、必ずしも基本的な価値観の共有に基礎を置かず利害の対立する分野もあり、それぞれが自国の国益に資すると判断した場合に限り協力するという意味で機会主義的性格を有している。そしてこのことが中露協力に内在する脆弱性であるとみられてきた。中露関係が「同盟関係に至ることはない」との見方も、このような中協力の基本的性格に対する認識からきたものと思われる。

 しかし、我々にとって重要なのは、彼らの協力関係が実際に脅威を構成するか否かである。たった一度の軍事協力であっても、我々にとっての脅威を構成するのであれば対処しなければならない。


新着記事

»もっと見る