全ては国家意思で決まる
ライトは、中露など4カ国協力を日独伊三国同盟と比較して、多国間条約の有無は、必ずしも協力関係の深さを意味するものではないと主張する。その通りであろう。が、客観条件が大きく異なる大戦時の日独伊三国同盟よりも、今日の西側同盟と比較する方が分かりやすい。
例えば、北大西洋条約機構(NATO)条約第5条は、「一またはそれ以上の当事者に対する軍事攻撃」を「全当事者に対する攻撃」と見做すものであるが、その際の加盟国の義務は「軍事力を含む」「必要と考える行動」をとることでありかつ第11条はそれが「それぞれの憲法上のプロセスに従って」行われると規定している。
このNATO条約第5条は実際、どのように機能したか。同条が発動されたのは歴史上ただ一度だ「9.11」 同時多発テロ事件への対応で、このとき加盟国がとった「必要と考える行動」は、米本土の防空支援と地中海の海上警備だった。
中露など4カ国の軍事協力に対し、より強固な条約上の基礎を有する西側同盟でも、ある国が侵略を受けた場合に完全な「自動的介入」を定めてはいない。他方で、安全保障上必要とあれば条約上の規定は柔軟に解釈され、さらに、同盟関係とは別の枠組みによる軍事的支援の方がより効果的であることもある。
結局、国家意思が全てを決定する。同盟関係の実効性はそれを求める国家意思によって維持され、それなくしていずれ同盟は有名無実化する。
逆に、協力に向けた国家意思が存するならば、条約上の基礎がない場合でも軍事協力は可能だ。これは以前から繰り返し指摘されてきたことであるが、本件記事にあるように、「ルールに基づく国際秩序が崩壊し、大規模な戦争のリスクが高まっている」今日にあって、このことは一層重要性を増している。
だからこそ米国は同盟及びパートナー国との協力・連携を強めることに注力すべきなのだ。本件記事がそのことに触れていない。

