2026年7月21日(火)

Wedge OPINION

2026年7月21日

この教訓をどう生かすか
日本が取り組むべき支援

 今回のイラン戦争が日本に与えた教訓は、第一に、エネルギーを輸入に頼る日本は調達源の多様化という原則を忘れるべきでない点である。25年の時点において、日本は原油の95%近くを中東から輸入していた。ここまで高い中東依存度は、中東原油の生産コストの低さに加え、日本の製油所の設計が中東原油に最適化されていることなどに起因しており、つまり経済合理性を追求した結果であった。

 しかし、リスク分散という観点から日本は中東以外からのエネルギーの調達を推進しつつ、原子力や再エネなど、エネルギー源の多様化も進めていくべきである。

 一方で、中東諸国との良好な関係を維持していくことも極めて重要である。中東依存度の低下は欠かせないが、中東への依存をゼロにするわけにもいかない。長期的な中東地域の安定化にも貢献し得る、湾岸産油・産ガス国のパートナーとして、存在感を高めていく必要がある。

 そこで、今日本が取り組むべきこととしてはまず、今回の戦争で損傷した湾岸諸国の「インフラの再建」への協力が挙げられる。

 4月中旬に日本政府が発表した「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ(通称パワー・アジア)」構想においては、中東産油国の生産力回復のための原油施設などへの支援も盛り込まれ、産油諸国にも歓迎された。日本は同じ枠組みを活用し、湾岸産油国の原油を東南アジア諸国で備蓄するといった、第三国における産油国共同備蓄体制の確立を支援することもできる。

 さらに、湾岸産油国は今後ホルムズ海峡を迂回する輸出ルートを開拓していく見込みだが、日本としてはそれらのインフラの建設や防御という面においても、支援を実施することができる。

 日本は長年にわたり、脱炭素時代の到来を見据え、水素・アンモニア製造とサプライチェーンの構築などの分野において、湾岸諸国のエネルギー・トランジションも支援してきた。日本としてはその過程で積み上げてきた湾岸諸国との信頼関係に基づき、それらの支援を今後とも続けていくことが重要である。

 湾岸諸国は今後、戦争からの復興と並行し、各国が掲げる「ビジョン」の通り、経済多角化の試みを続けていくと考えられる。湾岸諸国が様々なインフラや脱炭素をめぐる高い技術力に信頼を寄せる日本には、今後とも多岐にわたる分野において、湾岸諸国との協力を深める余地がある。湾岸諸国はAIやデータセンター事業にも力を入れたい意向であり、AIや自動運転を活用する日本のスマートシティー構想にも関心を有している。また、若い世代を中心に、日本のエンタメ産業にも熱い視線が注がれている。

 イラン戦争を経た中東は、まだ新たな秩序を構築する途上にあり、極めて不安定な状況が続く。エネルギーを輸入に頼る日本にとって、中東の資源国との関係は今後とも不可欠かつ重要だが、彼らを単なる「資源供給国」と捉えてはならない。相手の「記憶に残る」支援を模索し、双方に利する経済関係を拡大させていく必要がある。

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Wedge 2026年8月号より
台湾「麗しの島」の実像 日台新時代を拓く「3つの視座」
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かつてポルトガル人が「フォルモサ(麗しの島)」と呼んだ台湾。半導体産業で世界の最先端技術をリードし、日本統治時代の記憶も、歴史の一部として内包している。一方で、現在は米中対立の最前線に立たされ、難しい現実に直面している。国際社会で複雑な立場にある台湾とともに、日台新時代をどう拓くのか─。「3つの視座」から考えたい。


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