私の見解では、日本と台湾は完全に相互補完し、協力し合える関係にある。日本は多くの産業において世界をリードする地位にあるが、台湾の産業は主にファウンドリー(受託製造会社)の形態をとっている。日本は米国と台湾の協力モデルを参考にし、台湾を重要なアウトソーシング先として位置づけることで、日本企業の国際競争力を高めることができるはずだ。
TSMCのアリゾナ州への投資については、現在すでに生産能力がフル稼働しているが、その主な理由は米国企業からの受注が活発で、完全に供給が需要に追いつかない状態にあるためだ。しかし、TSMCの熊本への投資については、現在第1工場の生産能力はまだフル稼働に至っていないと聞いている。その理由は、日本企業からの受注ペースが比較的遅いことにある。
また、熊本第2工場の製造プロセスを3ナノ技術に変更したのも、米国系顧客からのAI関連注文が急増したためだ。2ナノ技術は難易度が高くコストも高いため、3ナノへの需要が急増した。現在、TSMCが世界的に供給可能な3ナノの生産能力は深刻な不足状態にあるため、膨大なAI関連注文の需要を満たすには、製造プロセスの調整が必要となっている。
日本の
戦略的誤り
ここ数年、私は頻繁に日本を訪れ、専門家の方々とも交流を重ねたが、半導体製造に関心を持つ一方で、製品開発や設計について言及する人は非常に少ないことに気づいた。これは大きな戦略的誤りである。もし日本が製品開発の重要性を軽視すれば、将来、日本の多くの産業は他社のAIコアチップに頼らざるを得ず、米国、中国、欧州などの強大なライバルとの競争も困難になる。
日本は台湾のファウンドリーだけでなく、台湾のASIC(カスタム半導体)およびIP設計サービスも積極的に利用すべきだ。台湾はファウンドリー以外にもう一つの「IC(半導体集積回路)設計受託」という道を切り開き、現在、米国企業も全面的に採用している。中国も自国での製品開発にも力を入れ始めている。これらはすべて日本が重視すべき最新の動向である。
日本は世界でも最も半導体のIP(知的財産)の威力を理解している国である。世界最大のIP企業である英アームはソフトバンク創業者の孫正義氏が主導する企業だ。そんな日本が台湾のIC設計企業と協力することは、日本が将来的にグローバルな競争力を高める上で最も重要な戦略的方向性となるだろう。
