精密誘導弾が登場した1991年の湾岸戦争後、「もう地上部隊は必要ない。こうした兵器があれば十分だ」と言った人がいたが、現実は違う。戦争で「人」が必要とされることに変わりはない。
その意味で、日本の自衛隊は非常に優秀だ。海上自衛隊は特にプロフェッショナルで、対潜戦(ASW)の能力は卓越している。水上艦隊や、私が設立に関わった陸上自衛隊の水陸機動団(ARDB)や航空自衛隊も、海洋監視能力が非常に優秀で、ミサイル防衛能力も高い。あまり注目されていないが、宇宙空間の防衛能力も素晴らしい。いざとなれば強力な戦闘能力を備えているのが日本の自衛隊なのだ。
もちろん、防衛費増には反対の意見があることも知っている。ただ、金額の多寡はそれほど重要ではなく、日本の自衛隊がこれほど多くのことを行っているのを見ると、現状でも十分だと私は認識している。日本はNATO(北大西洋条約機構)の同盟国と比較しても、防衛力向上の具体的な取り組みを行っている。一方、英国やドイツの軍事能力は非常に弱体化している。
ただ、せっかく優秀な能力を持っていても、現在の自衛隊では規模が小さく、高齢化も進んでいる。毎年、募集目標を下回っているようでは、自衛隊を維持していくのは困難だ。
日米同盟は必然
自衛隊にも敬意を
─この背景には何があり、自衛隊維持に必要なことは何か?
ニューシャム 世界の軍と比較して、勤務条件や給与、年金、住宅環境などの待遇面が低い。また、残念なことに自衛隊、自衛官を、日本人自身がリスペクトしているように見えない。「自衛隊は憲法違反」などの意見がいまだに存在している。私からすれば、このような状態で自衛隊に入隊する人がいること自体が驚きである。入隊者こそ、真の愛国者だ。だからこそ、彼らには適切な敬意を表し、米国の「復員兵援護法(GI法)」のように十分な待遇を与えるべきであり、これこそが日本の国防の絶対条件なのだ。
私がこれまで出会った中で、最も印象的で素晴らしい日本人は「自衛官」たちだった。彼らはただ静かに国に奉仕し続けている。信じられないほど素晴らしい。日本は今、中国の脅威にさらされていることを本気で自覚しなければならない。そのためには、何よりも「人」に投資をすることだ。
米国がいなければ日本は自国を防衛することはできない。同時に米国も日本がいなければアジア、そして世界の平和を守ることができない。つまり、日米同盟は必然の帰結ともいえる。この事実を日本国民に広く、確実に伝えていくべきだ。真摯に説明を尽くしさえすれば、日本国民は必ずや理解してくれるはずだ。(聞き手/同時通訳・土方細秩子)
