「Wedge」2022年8月号に掲載されている特集「歪んだ戦後日本の安保観 改革するなら今しかない」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
中国は長年、日本に対して、目に物見せようとしてきた。注意を払っている人には明々白々である一方、永田町では、注視する人が足りなかった。だが、ロシアによるウクライナ侵攻が日本政府を目覚めさせたようだ。今、台湾が「アジアのウクライナ」になること、そして好むと好まざるとにかかわらず、日本が巻き込まれることが危惧されている。
日本の政治家は口々に「台湾の防衛は日本の防衛だ」(これは確かに事実だ)と話している。岸田文雄首相は日本の防衛費を2倍に増額し、防衛力を「抜本的に強化」すると約束した。
政界には切迫感が広がり、こうした対策が必要だという一般的な合意がある。だが、これには時間がかかる。岸田氏は5年以内と語っている。
しかし、日本が防衛体制を整える間、中国が〝協力して〟待ってくれる保証はない。では、もし中国が今後数年以内に台湾(あるいは日本)を攻撃したら、日本は戦争をする準備ができているのだろうか。
答えは「ノー」だ。
だが、日本は防衛に年間5兆円以上かけており、世界で9番目(2021年、ストックホルム国際平和研究所〈SIPRI〉)に大きな軍隊(自衛隊)を誇る。理屈の上では近代的な装備を大量に抱え、毎年夏に「富士総合火力演習」で見事なショーを披露し、防衛については年来の日米同盟がある。日米双方のアライアンスマネージャーは定期的に「同盟はかつてなく強固」だと宣言する。