2026年8月21日(金)

WEDGE REPORT

2026年8月21日

パレスチナ民意の変動 武力から「交渉」へのシフト

 パレスチナ世論にも変化が生じている。パレスチナ政策・調査研究センター(PSR)が8月に実施した最新の世論調査によれば、ハマスの支持率は、過去10カ月で35%から24%へと大幅に下落しており、武力闘争を掲げてきたハマスに限界を感じている民意を象徴している。また、ガザの壊滅的な破壊を経て、武力闘争に対する熱意が低下し、代わりに「交渉」への期待が顕著に高まっている。調査結果によれば、国家樹立のための最も効果的な手段として「交渉」を挙げた回答者は44%に達し、4年ぶりの最高水準を記録した。一方で、「武装闘争」への支持は41%から27%へと急落し、同じく4年ぶりの低水準となった。

 しかし、この民意は決してイスラエルへの信頼に基づいたものではない。回答者の72%が「イスラエル軍がガザから完全に撤退する前の武装解除」に反対しており、先に武器を手放せばイスラエルは撤退せずに戦争を再開させるのではないかという強い不信感を抱いている。結局のところ、パレスチナ人はガザの惨状を受けて「交渉」がより有望な道筋であると認識しているものの、それを託せる政治勢力として、ハマス、ファタハ双方への期待は依然として低いままであるという現状が浮かび上がる。

 ワシントンが主導するハマスとの直接交渉という「ニュー・ノーマル」は、ハマスという組織をガザ再建と復興に向けた「解決策の一部」として関与させ、機能させるための現実的な交渉相手として定着させる試みとも言える。このプロセスが、ガザにおける真の平和への突破口となるのか、あるいは一部で危惧されているように、ハマスに外交上の正当性というお墨付きを与えることで、再びイスラエルの安全保障を脅かす存在として残留していくことに繋がるのか――それは、今後ハマスが本当に武器を手放す方向へと舵を切るという、実際の行動によってのみ検証される。

 それと共に、何より喫緊で実行されなければならないのは、未だに続くイスラエル軍による度重なる攻撃の停止と、確実なガザからの撤退への道筋の提示であり、どちらか一方の努力や譲歩に頼ることになれば、ガザ市民の置かれた過酷な状況が再び置き去りになるだけだ。

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