2026年8月28日(金)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2026年8月28日

 具体的には、支持者による議会暴動、一族による仮想通貨の発行や、大統領の政策に絡んで頻繁に行われている株取引などである。トランプ大統領は、自分の任期中は恩赦を与える権利を最大限に利用しているが、退任後の扱いとしては次期大統領が継続して恩赦をするかにかかっている。

 仮にルビオ氏が後継となった場合に、同じように旧政権関係者に忠誠を示すかどうかは、トランプ氏には一種の懸念事項である可能性がある。11年以来、上院議員として国政の最高機密に関与してきたルビオ氏は、仮に権力を握った場合には、北大西洋条約機構(NATO)や国連と協調する「普通の保守政治」に戻ってしまうのではないか、その場合にポピュリズム政治を支えた人々にも冷淡になるのではないか、そのような懸念である。

 あまり良い例えではないが、秀吉晩年の豊臣政権のような疑心暗鬼にも似た話であるが、可能性として全くゼロとは言えない。良い例えではないというのは、ルビオ氏が家康だというのは、比喩として適切ではないからだが、それはともかく、この間のルビオ氏は「グリーンランド領有構想」などにも関与し、特に「ベネズエラ侵攻とマドゥロ逮捕」という超法規的な作戦も任されてきている。そんな中で、キューバ系2世のルビオ氏は、「キューバへの軍事侵攻」などという事態を指揮させられるのは、さすがに避けたいに違いなく、ならば「ICCへの圧力行使」など、孤立主義的で国際法を軽視する行動によって、忠臣ぶりを見せておきたいと考えた可能性はある。

 ウクライナ和平にしても、ルビオ氏との駆け引きにしても、もちろん、証拠はない。あくまで仮説に過ぎないが、そうであっても時間的に現時点という極めて限定的な話だということは注目に値する。トランプ政権として、政権の実績として「ICC廃止」を歴史に刻むという野心を計画的に抱いているのではない可能性が強い。

高市首相に必要な姿勢

 今回の事態に対する高市早苗首相の対応は、基本的に冷静であり、また閣僚や自民党内の発言を総合することでは、欧州諸国などと連帯して、ICCと赤根氏を支えることにはなっていると思う。また、日本はICCに対する世界最大の資金提供国であり、この点についても微動だにしない姿勢である。もちろん、トランプ氏を横目に他の環太平洋諸国とTPPを粛々と進めた故安倍晋三首相のように、法の支配という大原則を掲げて欧州諸国などと連携ができれば、これに越したことはない。

 けれども、ここまで述べてきたように、そのような派手な活動がICCや赤根氏を支えることになるかは疑問である。ここは政府として揺るぎのない姿勢を保ちつつ、静かにICCと赤根氏を支えるのが最も得策ではないかと考える。

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