トランプは北朝鮮に何をするのか
この社説は、トランプが米韓共同演習の縮小を指示したことには触れるが、今後トランプが「北朝鮮に何をするのか」には言及がない。その点を中心に考えてみたい。
まず、2018~19 年のトランプ第 1 期政権の際の一連の米朝接触を振り返っておこう。18年4月27日には南北首脳会談が行われ、そこでは、「朝鮮半島の非核化」「平和協定締結による朝鮮戦争の終戦」等を内容とする板門店宣言が締結された。
その後、同年6月12日には、史上初めての米朝首脳会談がシンガポールで行われ、新たな米朝関係の構築、朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の構築(平和協定締結)、「板門店宣言」を再確認し北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組むこと等を内容とする共同声明を発表した。翌19年2月27日~28日には、第2回米朝首脳会談がベトナムのハノイで行われたが、「非核化」を巡り合意が成立せず共同文書発表は見送られ、今に至っている。
当時と現在と何がどう違うのか。第一に、北朝鮮は南北統一を国家目的から正式に除外し、南北関係も崩壊している。
米韓共同演習縮小表明を受けて、金与正は8月20日に談話を発表し、李在明大統領を名指しで批判すると共に、「(米韓の)主従関係の構造を鮮明に描いている」と論評した。これは、韓国を相手にしない一方、米国との対話への関心を示すものと受け止められている。一方、李大統領はトランプ大統領の合同演習縮小に「敬意を表する」としているが、これは、米朝対話に向けた流れを感じ取り、それに合わせているのだろう。
第二に、北朝鮮は自信を強めている。ハノイ首脳会談の当時に比べれば、北朝鮮の保有核弾頭数は十数発から50発以上に増えた。さらに、兵士をウクライナの戦場に送り、弾薬、ミサイルをロシアに供給し、ロシアとの関係を強化させている。要するに、自信を強める金正恩は今回、立場を強めて会談に臨むだろう。
一方、米国はどうか。トランプ政権は外交においては、イラン停戦は崩壊し、ホルムズ海峡は封鎖されたままで、ガザの停戦も前進せず、ウクライナは停戦の見通しが望めない状況である。次から次へと問題を作り出し、その前の失敗から関心を逸らすという現政権の「戦略」から言えば、そろそろ新たな問題に移る時だ。
