2026年9月11日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月11日

 メッカ協定の展開は、トランプとネタニヤフにとり想定外だったに違いない。10月27日のイスラエルの選挙にも影響するのではないか。

 特にネタニヤフは、戦後の中東秩序の柱である領土と平和の交換、パレスチナ二国家解決の追及という中東和平の主要パラダイムを破壊してしまった(23年7月のハマスの奇襲は弁護できないが)。今や、パレスチナ問題の解決の方向性さえ、見通せない。イスラエルは安全保障のために、永遠の戦いをするつもりなのか。

 トランプは8月16日、遅ればせのSNSを出し、協定署名は「嬉しい」、これは「大きな、大胆な、重要な第一歩」だと歓迎した。しかし、トランプは強気を装っているのか、事の重大性を理解していないのか、どちらかだろう。アブラハム合意と競合するこの協定は、過去60年の米国を中心とする中東秩序の終焉の始まりかもしれない。

中東は3グループに

 前出のフィナンシャル・タイムズ社説は、中東諸国が戦略的な「ヘッジ」を求めるものの、「米国は今後もアラブ世界にとって主要な防衛パートナーであり続けるだろう」と言う。しかし、トランプは中東における米国の信頼を大きく損なっており、米国が従来通り中東の「正直なブローカー」の役割を果たすことはほぼ不可能になっている。

 メッカ協定を「中東のNATO」、「反米のスンニ同盟」と呼ぶのは、今後の推移をみる必要がある。しかし、社説も指摘する通り、今後の中東の対抗軸はイランとイスラエルにある。当面、中東諸国は、メッカ協定のグループ(サウジアラビア、トルコなど)、アブラハム合意グループ(イスラエル、UAEなど)、それに中間グループの三グループで動いていくのだろう。

酷似する「戦間期」と現代 第三次世界大戦を防げ【特別版】▶Amazon
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る