中国の外交政策も「他国の紛争に巻き込まれない」という原則を基本にしており、米国に付け入れられないよう練り上げられている。イラン戦争にしても紛争の終結を呼び掛ける一方で、軍事支援については極めて慎重だ。いずれにせよ、中国への制裁抜きでは、イラン制裁は骨抜きになってしまうだろう。
シャヘド・ドローンはロシアの主力兵器に
プーチン氏はペゼシュキアン大統領と個別に会談。米国やイスラエルと対峙するイランへの支持を表明し、国家を防衛するイラン国民の「勇気と不屈の精神」を称えた。
ロシアは22年のウクライナ侵攻当初、弾薬をイランから調達。またウクライナ攻撃でイランのドローン「シャヘド」を大量に輸入した。23年以降はロシアでの現地生産を開始、いまや対ウクライナ戦の主力兵器となった。
両国はイラン戦争でホルムズ海峡が封鎖されている中、代替ルートのカスピ海を利用しての交易を活発化している。カスピ海は日本の面積よりも広い世界最大の湖で、イランは4カ所の港湾を整備し、軍需物資や小麦、生活必需品などの貿易量は2倍に増大した。カスピ海を航行する船舶は自分の位置を示すトランスポンダーのスイッチを切り、米国に探知されないようにしているという。
カスピ海に面している国はイラン、ロシア、アゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタンの5カ国。米国の介入はほとんど不可能な内陸の湖だ。米軍の管轄にしても、ロシアとアゼルバイジャンは欧州軍で、イランなどは中央軍である。国務省の管轄も5カ国を3つの局が担当するなど入り組んでいる。
イラン戦争ではイランが米軍とイスラエル軍の攻撃でドローンの60%を失ったが、ロシアがイランのドローン航空隊再建のため、ドローンの部品などをカスピ海経由でイランに送った。このためイランのドローン航空隊は再建されつつあり、ペルシャ湾での米艦やタンカー攻撃に使われている。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、ロシアはドローン部品の他に、23年から最先端の超音速巡航ミサイルの開発支援を秘密裏に行っている。この作戦は暗号名「C430L」。ロシア国営の武器輸出企業ロスオボロンエクスポルトが主導し、技術者や武器輸出担当者らがイランに繰り返し渡航していた。もし事実なら米艦船にとっては深刻な脅威となるだろう。
