2026年9月11日(金)

教養としての中東情勢

2026年9月11日

プーチンがイランに大規模軍事支援できない理由

 ウクライナ戦争はウクライナ軍が今春以降、ロシアの製油所や軍事施設などを攻撃。ロシアでガソリン不足が広がった。

 東部の前線でもウクライナ軍はロシアが完全占領を狙うドネツク州でドローン攻撃、進撃を食い止めている。プーチン氏は5月の赤の広場でのナチスドイツ戦勝記念パレードではドローン攻撃を恐れて戦車などの兵器は登場させなかった。

 「戦争バブル」だったロシア経済も悪化の一途、25年の経済成長率は1%に落ち込み、26年1~3月期はマイナス成長。暗殺を恐れてインターネットや携帯電話を一切使わないプーチン氏は地下防空壕を転々としているとされ、国民の評判は悪い。

 9月18日からの下院選挙にも影響を与えそう。プーチン氏は人気回復のためウクライナに大規模な攻撃を仕掛け、8月末にはキーウで市民ら37人を殺害した。

 だが、プーチン氏はイランが望む軍事支援はできていない。その理由はウクライナ対応に精一杯でイランに回せる軍事的余力がないことだ。同氏周辺では戦術核の使用も取り沙汰されており、米国のラトクリフ中央情報局(CIA)長官が先月突然訪ロしたのも核の使用について警告するためだったともいわれる。

 もう1つは同氏がイスラエルや湾岸などの親ロ諸国に配慮してイランへの大規模支援ができないということだ。ロシアが15年にシリア内戦に軍事介入した際は、アラブ世界でのロシアの評判が急上昇した。しかし今はこれらアラブ諸国に配慮し、敵対するイランへの軍事支援にブレーキがかかっている。

 イランの制空権は米国やイスラエルに完全に握られているのに、対空防衛システムを供与できないロシアに対し、革命防衛隊などから不満の声が上がっている。ウクライナ戦争ではドローンを輸出して窮状を助けたのに、ロシアは利用するだけ利用して肝心の時に役に立たないというわけだ。「イランを食い物にするプーチンの真骨頂」(識者)という声も強い。


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