予想外の結果になりそうな理由
先ほど、中間選挙では政権党が議席を減らすのが一般的だと指摘した。トランプ大統領の支持率が非常に低いこともあって、共和党の大苦戦が当初予想されていた。再区割りは大幅減少を阻止する効果があると当初予想されていた。もちろんその効果はあるだろうが、現在では当初の予測は楽観的に過ぎたと考えられるようになっている。
とりわけ予想外だったのは、中南米有権者の間でのトランプ熱の弱さだ。今回の選挙区割りは短期間で行われたこともあり、24年大統領選挙の有権者の投票行動を前提とした度合いが強いようだ。
そして、24年大統領選挙は、伝統的には民主党支持の傾向が強かった人々、とりわけ中南米や若者の男性がトランプと共和党に投票する割合が増大したという特異な選挙だった。だが、現在では、中南米系にせよ若者にせよ、トランプに対する支持は激減している。
とりわけ中南米系有権者は民主党のジョー・バイデン政権の経済政策に対する不満からトランプに投票するとともに、実はトランプ政権の不法移民政策についてもある程度支持していたと考えられる。だが、実際にはトランプ政権下で生活は楽にならなかったばかりか、強硬な移民取り締まり政策の結果、米国籍所有者を含む合法的滞在者までもが移民税関捜査局(ICE)によって取り締まられるに及び、トランプに対して幻滅するようになっている。
トランプ大統領は、経済と安全保障に強いという共和党のイメージを破壊してしまったばかりか、選挙区再区割り問題を提起することで選挙結果の予測不可能性を高めてしまった。当初の予想に反して再区割りの結果として共和党が得られる議席はさほど多くなさそうで、下院では民主党が勝利するとの予測が一般的だ。
しかし、トランプは自分が示した方針の誤りを認めないだろう。トランプが勝利すると見込んでいた(あるいは周辺の人から勝利すると伝えられたことのある)選挙区で共和党議員が敗北すると、選挙の不正を訴えたりすることになるのだろうか。今後もトランプ劇場と米国政治の混乱は続きそうである。
