2026年11月4日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年11月4日

中国の「炎上」にどう向き合うべきか

 言うまでもなく、中国の圧力によって日本の表現の自由が損なわれることがあってはならない。

 一方で、ビジネスのソロバン勘定としては悩ましい問題だ。この種の配慮は日本だけのものではない。84年の米映画『若き勇者たち(Red Dawn)』のリメイク版(12年公開)では、米国に侵攻する敵が中国軍から北朝鮮軍に変更された。『トップガン マーヴェリック』でも、19年の予告編で主人公のジャケットから台湾と日本の旗が消え、架空の紋章に差し替えられていた(22年の公開版では元に戻された)。

 中国の興行収入に占める輸入映画のシェアは19年の約36%から25年には約2割に下がった。市場としての比重が下がった今も、ハリウッド映画で中国人が悪役を務めることはまれだ。元米中央情報局(CIA)職員のジョン・サイファー氏は「プロデューサーから別の悪役を探すよう促される」と証言している。

 日本は今、アニメやドラマなどのコンテンツを輸出産業に育てようとしている。コンテンツ産業の海外売上は23年に約5.8兆円に達し、政府は33年に20兆円という目標を掲げる。昨年の高市早苗首相発言以降、日本映画の公開延期が相次ぐなど中国向けは不安定とはいえ、巨大市場・中国を取りこぼすのは痛い。中国ではキャラクターグッズ消費、いわゆる「谷子(グッズ)経済」が急拡大しており、市場規模は24年に1689億元(約4.1兆円)と前年比4割増えた。

 では、どうするべきだろうか。

 表現の自由は守る必要がある。ただ、そのためには覚悟と準備がいる。たとえ炎上しようとも必要な表現であるという覚悟があるのか、炎上した場合にも右往左往せずに受け止めきれる体制があるのか。それなしに徒手空拳で挑めば、表現の自由もビジネスも両方とも傷つくことになるだろう。

 数時間で謝罪と撤回に追い込まれたサンリオの姿を見ると、VIVANTの関係者にその備えがあったのか、疑問が残る。

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