対応には明確な区分けが重要
では、政府は、このようなデモと暴動が紙一重の状況に、どう対応するべきなのだろうか。先進国の場合も、途上国の場合も、デモが起きる原因は、政府への信頼が欠如したことにある。だから、それを回復することが、デモを防ぎ、暴動を食い止めることにつながることは論を待たない。
その上で、それでもデモが起きた場合、どう対応するべきか。デモと犯罪は明確に分けて対応するべきものといえる。
デモに対しては、その意見をできるだけ聞くようにし、不満を理解して対応する姿勢が大事である。インドでのデモでは、モディ政権の教育大臣が辞任したが、デモ隊の要求を100%受けいれたものであった。それは、適切な対応といえる。
その一方で、有権者名簿更新を巡る不正疑惑に対してモディ政権は、選挙管理委員会委員長の辞任という要求に応えず、インターネットを遮断し、力でデモを抑え込んだ。モディ政権には、いまだにかなり強い国民の支持があるから、この聞く姿勢と力の使い分け、いわばアメとムチの対応は、国民の支持を背景にした、一定の効果を上げている成功例にみえる。
10月に起きたフランスにおける暴動対応は、民主主義の下でのデモと、暴動による犯罪は、明確に区別すべきだったのに、後手に回ったように見えるものである。今から言うことはたやすいが、暴動になりそうならば、より早く警察と軍を投入するべきであった。
デモの原因となる不満には聞く耳を、暴動には力による抑止と鎮圧を、その明確な姿勢を適時適切に示すことが、指導者に求められていることを、よく示している。
