3位決定戦を勝ち上がった日本代表は決勝戦に進出し、本大会3度目の対戦となる王者アメリカを3-1で退け、日本代表が金メダルを獲得した。
勝利した瞬間の選手たちの喜びは、いまだ読者たちの記憶にも新しいだろう。この決勝戦の最高視聴率が47.7%(ビデオリサーチ調べ)だということからも、期待度の高さや感動の大きさがわかろうというものである。
日本がチームスポーツで金メダルを獲得したのはモントリオールオリンピック以来32年ぶりのことだった。
夢が叶った瞬間だった。
「表彰台で金メダルをもらったときにやっと勝ったんだと思いました。やってきて良かったと感動しましたが、金メダルの実感は日本に帰ってくるまで湧かなかったんです」
「楽しいことよりも苦しくて辛くて、逃げ出したいと思うことがいっぱいあったんです。でも、オリンピックで金メダルを取ったことによって、それを全て忘れることができました」
初めて日本代表に選ばれた時、さぞかしご両親は喜ばれたでしょうという質問に「良かったね、と喜んでくれたのですが、代表は遠征など移動も多く長時間飛行に乗りますので、身体がむくんだり、他の人よりも疲労が取れにくかったりするため、あの時の母は心配と嬉しさとどちらもあったのかなと思います。きっと今でも心配していますよ。そんな母ですから(笑)」
「一球一魂その日のために」
西山の好きな言葉は「一球一魂その日のために」。
「今のこの一球で成果は出ないかもしれないけれど、何カ月後かにその一球で成果が出るかもしれない。だから一球一球手を抜いてはいけないという教えです。どんな一球でも手を抜かない。私は小さい頃から病気のために出来るのに抑えなければいけない中でスポーツを続けてきました。それは今でも同じです。だからこそ一球を大切にしたい。一球に懸ける思いは他の選手よりも強いと思います。その強い思いがあるからこそ今でも続いているのです。それがこの言葉に込められています」
「オリンピックに出場して、活躍したいと思ったのは身体のことがあるからでした。たくさんの人に支えてもらって、応援してもらってここまでやって来ることが出来ました。世界中に自分よりも重い病気を抱えている人たちがいます。大きな苦しみを抱えながら過ごしている方たちがいます。そういう方たちに少しでも元気とか勇気を伝えて、自分も頑張ろうというキッカケになれればいいなと思っています。どれだけの人の力になれるかわかりませんが、そういう人たちのためにも頑張っていきたいと思っています」
(写真1、4、6ページ:日立製作所提供 2、7ページ:筆者撮影)
西山麗選手 主な記録
2004~2005 日本リーグ1部 ベストナイン賞(遊撃手)
2006 アジア大会優勝(金メダル)
2006 世界選手権大会準優勝(銀メダル)
2008 北京オリンピック優勝(金メダル)
2010 アジア大会優勝(金メダル)
2010 世界選手権大会準優勝(銀メダル)
2012 世界選手権大会優勝(金メダル)
2014 世界選手権大会優勝(金メダル)
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