浜野 ああ、映画にまさに出てくる、あのシーン(笑)。
細田 そうなんですよ。ひたすら恐縮をして、僕は。
浜野 ということは、主人公の少女、とてもさばさばしてますけど、あのキャラクターも奥さんの投影ですか? 言いにくかったら悪いけど。
細田 いやいや、何しろ彼女にとっては「ホーム」でしょう。僕は「アウェー状態(笑)」です。彼女はみんなと仲良くしゃべっているのだけれど、僕だけほら、緊張しまくっていて。伸び伸びしている彼女と、かしこまるほか術(すべ)のない僕、という。
浜野 じゃあ映画の中、もじもじしている例の少年が、細田監督なんですね。
細田 はぁ。
司会 結婚相手の、向こう側の家族・親戚というのは、他人であるような親族であるような、距離感がえもいわれぬもので。確かに未体験の結びつきですよね。
細田 すごくそうなんですよ。そういうことがひとつひとつ、新鮮だし、面白かったす。映画やお話の世界だと、好きな2人が結婚でゴールイン。そこでお終いというのが多いですけど、そこから先も、なんだ、すごく面白いじゃないか、って。それは実感です。
司会 作品をつくる時は大体いつもそうなんですか。実感、実体験に根ざしてという。
細田 うーん。結局は自分の体験から何か導き出されるという感じはあります。それが特に今回、本当に自分の中で、自分の人生の中で、結婚というのはこんなに面白い体験だったのか、と感じ入ったのが大きかった。
浜野 見せてもらったラッシュには声優の名前がまだ入っていなかったけど、あの、家長役のお婆さん。あの声は僕なんかの世代だと嬉しいのだけど、富司純子(ふじ・すみこ)さんですよね。
※文中敬称略
<第2回につづく>
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