チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年9月18日

»著者プロフィール
著者
閉じる

平野 聡 (ひらの・さとし)

東京大学大学院法学政治学研究科教授

1970年、神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学法学部教授。アジア政治外交史担当。著書に『大新帝国と中華の混迷(興亡の世界史17)』(講談社)、サントリー学芸賞を受賞した『清帝国とチベット問題 多民族統合の成立と瓦解』(名古屋大学出版会)がある。

 したがって、そもそも中国自身の対日認識のあり方に根本的欠陥があるのではないか、という結論に至らざるを得ない。

 そして、ネット上には中国の日本イメージを批判的に総括し、中国人自身の問題として中日関係をどう再構築するべきなのか、という議論が増えつつあるようである。あるいは、中共自身が強硬外交のイメージを修正する必要性の中に対日政策を据え、その一環として「知日」の民間交流を据えているからこそ、ネット上に一定程度「自由」な議論が流布しつつあるのかも知れない(国内のガス抜きと日本への「統一戦線」の両面があるだろう)。

 去る9月11日、中国のメディアは尖閣国有化2周年を大々的に伝えることはしなかったどころか、共産主義青年団の機関紙『中国青年報』が「日本をより多く知ることは悪くない」と題する論説(http://zqb.cyol.com/html/2014-09/11/nw.D110000zgqnb_20140911_1-02.htm) を掲載し、サイト内アクセス数1位を記録するほど注目を集めた。曰く、両国間の緊張関係を緩和するためにもまずは日本を研究し理解しなければならず、それは歴史の原則を捨てて日本に媚びることではなく、歴史を知るにも怨みを以てするべきではない、という。約1週間後に満洲事変記念日(中国から見れば国恥記念日)を控えているタイミングとしても思い切ったものでもあろう。

 そこで現れつつある最も主要な議論は、「中日両国とも戦争までは望まない世論が多いことを踏まえて、双方の意見を互いに知るべきである」というもので、これはこれで当然のものである。しかし、それ以上に一歩踏み込んで日本研究・日本認識の一新を求めるものもある。

後篇へ続く

  

関連記事

新着記事

»もっと見る