2024年4月27日(土)

Wedge REPORT

2014年10月14日

 中国は、尖閣諸島に対する日本の領有権や実効支配という現状の変更を目指して、海上法執行機関や人民解放軍に依拠した様々な対日圧力を強めている。中国の海上法執行機関は、尖閣諸島周辺海域に監視船をほぼ恒常的に派遣しており、これらの監視船は日本の領海への侵入を繰り返している。中国海軍は南西諸島周辺での活動を活発化させている。

 訓練艦隊が頻繁に宮古海峡などを通過し、南西諸島の接続水域内を航行するケースもある。13年1月には東シナ海で、中国海軍のフリゲートが海上自衛隊の護衛艦に対して、火器管制レーダーを照射する挑発的で危険な行為に及んでいる。

 中国は東シナ海の海上のみならず、その上空においても日本に対する圧力を強化している。12年12月には、中国の海上法執行機関に属する航空機が、尖閣諸島の日本の領空を侵犯した。中国軍の戦闘機などによる東シナ海での活動が活発化しており、13年度における航空自衛隊による中国機に対するスクランブルは、対象国別でトップとなる415回に達している。

 さらに中国は13年11月に、東シナ海の広範な海域の上空に「東シナ海防空識別区」を設定したと発表した。一般に防空識別圏(ADIZ)とは、領空に接近してくる航空機の属性を識別することを目的に、主権や管轄権が及ばない領空外の空域に設定されるものであり、日本を含めて多くの国がすでに設定している。

 ところが中国が設定した防空識別区は、区域内を飛行するすべての航空機に対して事前にフライトプランの提出を要求し、従わない場合には武力を用いた緊急措置を採る可能性を明記するなど、領空外での「飛行の自由」という国際的なルールを無視し、中国による事実上の管轄権を主張した極めて特異なものである。

 また、そのような防空識別区を、日本の領土である尖閣諸島の上空を含めて設定したことも、日本の主権に対する挑戦的な対応といわざるを得ない。

 14年5月には、中国が設定した防空識別区内を飛行していた自衛隊機に対して、中国の戦闘機が約30メートルまで近づく異常な接近飛行を行った。こうした飛行は、他国の軍隊は行わない極めて危険なものであり、国際的な常識から外れた中国軍の特異性を示すものである。

自衛隊機に異常接近した中国戦闘機(防衛省/AP/AFLO)

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