2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2014年10月17日

 国立感染症研究所の発表によれば7月30日現在、麻疹(はしか)の推定感染地域は国内324に対して国外87。また、今年の麻疹は例年よりも多く罹患者が報告されており、注意が必要だ(下図参照)。

 風疹でも国内245、海外4と国内のほうが多い。この原因の一つになっているのが、国内に入ってくる外国人の存在だ。外国人留学生が通う語学学校、外国人研修生施設などが麻疹や風疹の発生源になることがある。

 だからといって、外国人を受け入れるなということではなく、日本に入国する前に感染症罹患やワクチン接種の有無について確認するといったような支援する仕組みが必要となる。例えば、米国では留学生だけではなく、全ての学生が学校に入学するとき、ワクチン接種の有無を証明する書類の提出が義務付けられている。

 日本人が国外に出て行くときはもちろん、外国人に日本国内に来てもらうときにも「事前にできることをしておく」という啓発に向けてもっと努力する必要がある。

 言葉や文化の異なる国で発症し、体調不良で苦しみ、高額な医療費を負担しなくてよいような事前の支援が重要だ。

 近年、学校や企業は「新型インフルエンザ対策」に熱心に取り組んでいる。しかし、新型インフルエンザ以外の感染症についての危機管理が手薄なことは、今後の問題になるリスクを残している。まず「予防できるものを予防できているのか?」が問われる。

某企業が社員に対して行った集団ワクチン接種
(提供:鉄医会ナビスタクリニック久住英二医師)

 


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