2024年11月22日(金)

【開業50周年記念】 My Memories of the 東海道新幹線

2014年10月24日

 何よりも駅構内で迷って、立ち往生するのが怖いという。立ち止まると、人気者だからすぐに周りに人だかりができてしまう。トラブルの元なので、駅では、とにかく「歩き続ける」ことが大切だという。

 「サインや写真も頼まれれば断らないけど、歩きながらが条件。そのためには、どの駅でも、入口、出口をよく知っていなきゃいけない」と説明する。

 車内ではもっぱら、音楽を聴きながら景色を眺めている。寝ることはほとんどない。太陽が好きなので、日が射してもブラインドは下ろさない。富士山や浜名湖などの美しい景色を見れば、そのたびに心が躍る。

 小錦さんによれば、東京から1時間もしないうちに、緑の多い田園風景の中を走るのも新幹線の魅力のひとつという。

 「こんな近くにのどかな場所があるなら、自分で住んでみたいなと思いますね。それに都会と田舎を結ぶ何かのビジネスを起こすチャンスもあるんじゃないかな、と考えます」

 こうした発想をするのも、小錦さんが自然豊かなハワイで育ったからだ。ハワイの人は日々の暮らしの中に寛ぎの時間を作るのが上手で、多忙なビジネスマンでも平日の朝夕にサーフィンを楽しむ。小錦さん自身も、故郷に戻って、ビーチに沈む夕日を見るたびに、気持ちがリラックスするのを実感する。

 新幹線を活用することで、そんなふうに人と自然が上手に付き合える生活術を編み出せるのではないか。それが、来日から32年、現在ちょうど50歳と、新幹線とほぼ“同い年”の小錦さんからの提案だ。

  
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◆Wedge2014年10月号より

 


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