2024年4月20日(土)

ウェッジ新刊インタビュー

2014年11月17日

 ところが、新幹線の開業後は、母と夕食をともにしてから京都を出発しても、当日に帰京することができるようになったのです。このことに端的に表れているように、新幹線は我々の生活の姿を変えていくだろうと、ライフスタイルの変化につながることを実感しました。

 新幹線の開業は、私たちの生活時間の選択肢を増やし、新しい時代が拓かれていくような高揚感をもたらしたのではないかと思います。

ヘッドライトを光らせてトンネルに進入中の0系(写真提供=JR東海)

 その昔、汽車というものは、日取り、時間を決め、事前の準備等々を整えて、あらたまって乗る乗り物でした。新幹線も当初は同様で、「新幹線特別急行列車」でした。“特別”に早い列車、またすべて指定席で社用も多かったことから、特別な目的で乗車されるお客さまが中心だったのではないかと思います。開業の翌年に自由席ができると、旅程や時間にさらに自由度が増していきました。そして日常の足として普段着で乗れる列車に定着していったのです。

 その後も、新幹線はその時代、それぞれのニーズを受けて、車両が改良され、たえず進化を実現してきました。これからも安全で安定した、利便性の高い日常生活に密着した新幹線であるようにと考えています。

(プロフィール)
須田 寛(すだ ひろし)
1931年、京都府生まれ。京都大学法学部卒業。1954年、日本国有鉄道(国鉄)に入社。1987年、JR東海発足に伴って初代社長に就任。1995年6月に会長、2004年6月から相談役。

 

 

 


▲東海道新幹線開業50周年公式写真集 1964→2014 

  
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