2024年12月3日(火)

オトナの教養 週末の一冊

2014年11月14日

 だたしこれは、現代の大卒層の好みや判断力によるもので、かれらが一定の主義に基づいて行動しているためではありません。たとえば、団塊の世代では、主義ということが第一の優先事項でしたので、大卒で右翼的思想を持つ人は少なく、大学生はだれもが学生運動に参加するというのがお決まりのことで、環境保護運動や無農薬食品の購入などもその延長線上にありました。しかしこれは結局、その世代はたとえ大卒層であっても、自分自身の判断を停止して、特定の主義に寄りかかって行動する面をもっていたということです。

 一方、現在の大卒層は、政党の党首が口にするようなこと程度ならば、自分でも考えられると思っているから、既成の主義に従うわけではなく、選挙の度に自分の判断で投票する政党を変えるのです。だから政権が揺れてしまう。それに比べ、現在の非大卒層のほうは、依然として政治のことをわかりやすく整理して誰かに提案してほしかったり、お任せしたいという傾向が強いのです。

――出版後の反響はどうでしょうか?

吉川:私の年齢プラスマイナス3歳くらいの方々から「激奨」されています。ただ、この本を本当に読んで欲しいのは、それよりもっと若い世代の人たちです。若い人たちには、この本に着想を得て、自分なりの続きを考えて欲しいと思います。それこそこの本をプラットフォームとして、今の現象を読み説き、言説の深まりが出てくれれば嬉しいですね。

  
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