外村さんもテスラ「モデルS」のオーナーで、通勤に利用している。「これがキーです」と、掌にのせられたのはモデルSのミニカーだった。キーの天井部分に触れると、車の側面からドアノブがスマートに出てくる。
車内の大型タッチパネルで各種操作をし、運転しながら今日のスケジュールまで確認することができる。実際に乗せてもらってみるとこれまで乗った自動車ではなかった未来の乗り物を思わせてくれるようなUI、UXを感じることができた。
アップルやグーグルといったIT企業ばかりではなく、製造業の代表格ともいえる自動車産業においてもイノベーターが現れる。それこそシリコンバレーのダイナミズムだ。
シリコンバレーのエコシステム
スクラムベンチャーズの宮田拓弥さん。右にあるのは出張中に宮田さんに代わってオフィス内を動き回るダブル・ロボティクス。サンフランシスコの金融街にあるオフィスをワーキングスペースとして貸し出す「Zen Square」を始めた
サンフランシスコで、ベンチャーキャピタルのスクラムベンチャーズを運営する宮田拓弥さん。ロサンゼルスで起業し、会社をグーグルに売却した経験を持つ宮田さんは、シリコンバレーから次々にイノベーションが生まれる理由に「ボランティア精神と人的ネットワーク」を挙げる。
「起業して成功した人はもちろん、所属企業の上場で報酬を得た人など、個人がエンジェル投資家になります。エンジェル投資はリターンを得ることが目的ではあるのですが、基本的には失敗します。それでも、かつては自分もお世話になったということで後進に投資するのです」
起業家にとってはその失敗すらも実績として評価の対象となり、失敗を恐れないカルチャーがあるからこそスタートアップが数多く生まれる。最近で言えば、日本でも使用されはじめたタクシーの配車サービスを行うウーバーの創業者であるトラビス・カラニック氏は、以前に何度も失敗していることで知られている。