2024年11月22日(金)

エネルギー問題を考える

2015年2月26日

 ではこのままFITを続ければどうなるのか。これについても朝野氏が試算している。

 2月3日に開催された、経済産業省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会では、現行の導入ペースが継続する場合、2030年時点の累積導入設備容量は、太陽光が1億4000万kW、風力が1140万kWに達することが示された(これはそれぞれ、14年10月末時点の認定実績の、それぞれ8倍、3倍にあたる)。この「最大ケース(注2)」では、年間賦課金額のピークは4.1兆円、累計賦課金額は84.8兆円にも及ぶ。

 朝野賢司氏によれば、「既に太陽光発電の設備認定は莫大であるため、賦課金を抑制する方策は限られるが、上限や入札等の実施などやれることはある。より少ない費用で、出来るだけ多くの再エネ供給を得る、効率性の観点に立ち返ることが重要」だという。私たちはすでに振り出してしまった手形(将来へのツケ)をよく認識すべきであろう。

 朝野賢司主任研究員の試算の詳細はこちら>
http://www.denken.or.jp/jp/serc/discussion/14009.html

(注1)「FIT廃止ケース」詳しくは次のような仮定を置いている。太陽光発電の接続可能量が設定された電力各社では、これを超過した導入は行われない。接続可能量が未設定の東京電力、中部電力、関西電力では、13年度に各社エリアで認定されたのと同じ量が14年度にも認定される。その他の再エネは14年10月末時点の認定実績まで導入。

(注2)「最大ケース」は詳しくは次のような仮定を置いている。太陽光発電は2030年時点で累積導入量1億4000万kWに、風力は同1140万kWに到達する。14年度と15年度におけるその他再エネは、13年度実績と同量が導入。買取価格は既認定分については実績値を、15年度以降、住宅用太陽光発電は毎年2円、事業用太陽光発電は同4円切り下げて、その他再エネは14年度と同等とした。

  
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