エネルギー問題を考える

2015年3月23日

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再エネ30%の非効率性と非現実性

 再エネは現在、固定価格買取制度(FIT)という、発電事業者の収益を事前に確定させる超優遇制度で導入が進められている。そのコストはすべて電力消費者に賦課金としてツケ回しされているのだが、FITで再エネ30%を達成しようとすると膨大な賦課金になってしまうのだ。

 電力中央研究所の朝野賢司主任研究員の試算によれば、新エネルギー小委で示された現行の導入ペースをずっと継続すると、2030年段階で再エネ比率は約30%となり、年間賦課金は4.1兆円に達するという。震災前の年間電気料金の総額が約15兆円だから、その約3割にあたる。震災後、原発停止などによって電力価格が約3割上昇し、関西電力などの電力会社が強く批判されているが、再エネだけでその域に達してしまうということになる。

 実は再エネ20%でもなかなかの負担感である。同じ試算によると、FITを今年度で廃止したとしても、すでに認定された設備がすべて運転開始すればそれだけで再エネ比率は約20%、年間賦課金は2.6兆円にも及ぶ。

 では再エネ20%は容易に達成できる目標なのかというとそれも違う。再エネの大半を占める大規模太陽光設備(メガソーラー)を運用の事業者をヒアリングすると、「高い買取価格のときに、認定だけ取ったブローカーなど、事業運営能力のない事業者が多く、現在の認定容量の半分も運転開始には至らないだろう。経産省は悪質事業者を排除し、制約が出てきている電力系統を空けるべき」と口を揃える。

 しかも、慶應義塾大学の野村浩二准教授の実証研究によると、FITは競争を阻害し、高い買取価格の設定によって、事業者は世界標準よりも高い太陽光パネルを輸入することに甘んじ、事業に対する習熟効果もほとんど見られていないという。消費者は無駄に高い電気を買わされているのだ。

 FITは再エネ推進の立場に立っても有害無益な制度になっている。「焦らずに、パネル価格が下がりきったところで、公共工事として入札で大量に買い上げれば圧倒的に安く導入できる」(野村准教授)。少なくとも、21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹の言う「ドイツなどが行っている、買取価格を卸価格に連動させるプレミアム型への移行や自力直接販売、入札導入など、再エネの市場統合」を急ぐべきだ。

 また、再エネは20%を超えてくると導入すること自体が困難になってくることも真剣に検討すべきだ。経産省が小委に3月10日に示した資料によれば、年間でもっとも電力需要が少ない5月の晴れの日を想定した、電力系統への接続可能量を考慮すると再エネは20%程度しか入れられない。これを超えると、系統からの遮断や、系統増強への投資が必要になるため、消費者負担は途端に大きくなる。

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