「『省エネ対策後』として想定されている省エネを市場経済のなかで実現しようとすると、2~3倍程度では済まない電力価格の高騰を必要とする。これにはイタリアという実例がある。イタリアは99年から13年にかけて電力価格が名目で3倍、実質で2.3倍まで上昇したが、これは、一定の仮定を置いて計算すると、年率0.15%ほどのGDP低下要因になっている。日本経済の将来見通しに適用すると、30年の断面では2.2%ほどのGDP下落となり、それまでに失う所得の総額は100兆円に近いものとなる。これは到底耐えられる水準ではない」
以上の内容をまとめると、エネルギーミックス検討のミソはこうなる。
・つじつまを合わせるためにやりたくなる省エネの深掘りは、経済への影響が大きいのでやってはならない
・再エネは20%を超えると、電力消費者の負担も電力系統にかかる負荷も途端に大きくなる。30%などという野心的な目標は掲げるべきではない
・再エネ20%でも十分再エネ推進であり、その政策手段は、無駄だらけのFITであってはならない(FITは極力早期に廃止すべき)
このような「不都合な真実」から逃げた、格好だけのエネルギーミックスで将来に禍根を残してはならない。
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