オトナの教養 週末の一冊

2015年3月27日

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東嶋和子 (とうじま・わこ)

科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師

元読売新聞科学部記者。フリーランスで環境・エネルギー、医療、生命科学、科学技術分野を中心に、科学と社会のかかわりを取材。主著に『名医が答える「55歳からの健康力」』(文藝春秋)、『人体再生に挑む』(講談社)など。新著に『水も過ぎれば毒になる 新・養生訓』(文春文庫)

科学の必要性と妥当性に立ち返る

 欲望の充足を適正な範囲でコントロールする原理をどう見いだすか。

 その原理に基づき、個々の先端医療の管理にどのような姿勢で臨むか。

 これら二つの課題に、「いままでのところ世界で最も体系的な立法で対応しようとしてきた」フランスの生命倫理法が紹介されている。「人体の人権」という思想に基づく生命倫理の理念は、非常に興味深い。

 場当たり的につくられてきた、あるいは、著者の言葉を借りれば「パッチワーク状態」のわが国の倫理のあり方を省み、今後、「生命倫理基本法」を議論するうえでの参考にしたい。

<時々に世間を騒がせる喫緊の問題に、そのつど一つずつ対応していかなければならないのはもちろんだ。だがそこから一歩引いて、長い眼で見て考えることも同じくらい大事だろう。>

 あとがきに、そう著者が書いたように、いま一度、科学の必要性と妥当性に立ち返り、科学を根底から立て直すための道筋を見つけ出すことが、求められている。

  
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