世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月21日

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 中国共産党の支配がいつ崩壊するかを予測することはできないが、現在、我々はその最終段階を目撃していると結論せざるを得ない、と述べています。

出典:David Shambaugh‘The Coming Chinese Crackup’(Wall Street Journal, March 6, 2015)
http://www.wsj.com/articles/the-coming-chinese-crack-up-1425659198

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 中国の将来を予測することは至難の業です。ただ、シャンボーの挙げた5つの「亀裂」を理由に、中国共産党の統治が崩壊すると結論付けるのは不十分だと思います。

 中国共産党の直面する課題は、確実に増大し深刻化しています。しかし同時に、諸課題に対処する共産党の能力も向上しています。Suisheng Zhaoデンバー大学教授は、中国の近代は中央政府の“権威”を確立するプロセスそのものであり、習近平の昨今の動きも、この流れの中にあると言っています。中国では、権力が集中されないと、何もやれないのです。

 だから習近平は、腐敗問題を使って権力を集中してきました。それほど中国の現状は、多くの、しかも大きな改革をあらゆる面で行う必要があるのです。鍵は、習近平が権力をどこまで集中でき、その権力を使って「改革の全面的深化」(2013年党中央委員会決定)をどこまでやれるかにかかっています。基本は、持続的経済成長が可能かどうかであり、司法改革も、環境対策も、社会福祉も、そのための環境整備の側面が強いです。目標の2020年までに良い結果を出せれば、共産党統治は、逆に安定するでしょう。

 現在の一連の改革をある程度終えても、共産党は、今度は発展した国民社会と一党支配との関係をどうするのかという根本的な、もっと困難な問題に直面せざるを得ません。まさに政治改革という巨大な課題に直面せざるを得ないのです。それは、習近平が鄧小平を越えることができるかどうかという次元の問題でもあります。

 問題の深刻化のスピードが、共産党の能力向上のスピードを上回れば、共産党の統治は終わるのだと思います。シャンボーは「中国共産党の統治の最終段階を目撃している」と言っていますが、いつその最終段階が本当に終わるのかについては、現時点で予測できないし、シャンボーが思っているよりは遅くなるでしょう。

  
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