2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年6月4日

 しかし、空母は1隻で70機程度までの艦載機を搭載します。これをドローンで代替しようとすると、50隻程度の艦船が必要となり、実現は難しいです。しかも、ドローンが搭載できるミサイル数は多くて6基で、戦闘機にやや劣るのです。

 他方、小型のドローンを多数空中に常時遊弋させれば、低高度で進入してくる艦対地ミサイル、あるいは対艦ミサイルの捕捉と撃滅に役立てることはできます。しかしいずれにしても、本件ドローンの開発で空母、あるいは戦闘機が不要になるとは思えません。中国の対艦弾道ミサイルDF-21Dなるものも、その実力の程は不明です。

 本件の開発がパラダイムの変更を生むとしたら、それは重い兵装を担っての長時間飛行を可能とするエンジンが開発された時でしょう。海中においては既にiRobot社等が製造した様々の計測ロボットが、海流を活用した永久動力装置をもって日夜多数遊弋しています。空中においても同様のことが可能となれば、それはパラダイムの変更となります。なお、「狭い場所での離着陸」に関しては在来型戦闘機F-35Bでも垂直離着陸が可能です。

 先進国では、技術の一大革新期を迎えています。特に物体にセンサーを埋め込み、データを常時収集・解析するInternet of the Things、Big Data、あるいは無人運転、人工知能、ナノ・テクによる新素材開発等は、軍事にも一大革命をもたらし得る。日本の場合、兵員を伴わない機材による集団防衛参加も可能となるのであり、真剣にフォローする必要があるでしょう。

 DARPAは、外部からプロジェクト・マネージャーを募集し、数年間プロジェクトの執行を委ねる等、オープンでダイナミックな米国の軍備開発体制の象徴のように言われます。しかし考えてみれば、日本自衛隊の技術研究本部は、約1500億円の年間予算と1000名を超える人員を有している他、実際の開発は民間企業にアウトソースしており、実体はDARPAとそれほど変わらないでしょう。

 問題は、将来の兵装について先を主体的に見通しているかどうか、一貫・継続性のある決定・執行ができる体制になっているかどうかです。担当の文官・制服が代わるたびに、兵器開発の重点が変わるようでは困ります。この点、本年秋には日本でも「防衛装備庁」の設置が予定されており、そこで本格的なプロジェクト・マネージャー制度が導入されることとなっています。

  
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