イギリスのAIIB参加は、ロンドンの金融街・シティをヨーロッパにおける人民元取引の中心的な市場にしたいとの強い思いを感じる。昨年9月、イギリスは先進国で初めて人民元建ての国債を発行すると発表している。本腰を入れて人民元の取り込みを図っていることの表れだろう。
進まぬIMF改革に新興国の不満が高まっている (BLOOMBERG/GETTYIMAGES)
また、イギリスは、かつてキャメロン首相がダライ・ラマ14世と面会したため、他のヨーロッパの国に比べて、中国との関係構築に出遅れているという思いをもっている。ドイツのメルケル首相などは、中国と非常に良好な関係を築いている。放っておけば、実需を通じてフランクフルトにシティの座を奪われるのでは、という危機感もあるのだろう。
中国の経済力の魅力が、世界中で抗しがたいものになっている。中国の掲げる「一帯一路」構想は、ヨーロッパ市場と中国市場を近付けるものだ。ヨーロッパ各国にとっては、日本と異なりAIIB加盟は経済的なメリットがあると言える。いずれにせよ、存在感を増した中国の動きがAIIB設立だけにとどまる保証はどこにもない。
(聞き手・構成/Wedge編集部)
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