マイクロソフトはインターネット電話サービスのスカイプを利用して、相手と話しながら翻訳文が画面に表示される「スカイプ トランスレーター」という商品の開発を進めている。英語、中国語、スペイン語、イタリア語の翻訳ができるように設計されているが、まだプレビュー版しかなく、実用化の時期は未定。
ホテルへの導入進むTV電話
一方で、通訳ができる人材をコールセンターに配置して、テレビ電話で通訳オペレーターと現場をつなぐアナログ方式は精度が高いことから、早く普及するのではないかという見方がある。「おもてなしコール」と名付けたテレビ電話を販売するパラダイムシフトは、現在約90のホテルと約10の旅館など合計100の施設にこの電話システムを導入し、百田浩志社長は「通訳人材を確保するのが難しい地方のビジネスホテルなどに適している。オリンピックまでには全国の5千の施設に広げたい」と意欲的だ。
5月には開店したばかりの東急不動産系のビジネスホテル、東急ステイ新宿(179室)に「おもてなしコール」が導入された。iPad(アイパッド)に表示されている5か国(英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語)の中から必要な言語のボタンを押すと、通訳オペレーターがいるコールセンターにつながり、ゲストが画面の通訳に向かって話すと、通訳がホテルスタッフに日本語に訳してくれる。相手の顔や表情を見ながら翻訳するため、早口で話されたり、方言が混じっていても問題ないという。
利用料金は使っただけ費用が掛かる従量制で、1か月1時間使うと2万円。運営するパラダイムシフトは現在、コールセンターに5か国語に対応した通訳ができるオペレーターを24時間365日配置している。ただしこの電話がつながるためにはWi-Fi環境が必要になる。
4月のオープンと同時に導入した東急ステイ新宿店の廣野富夫支配人は「お客の半分以上が外国人なので、こうした端末があると対応がスムーズにできる」と話す。3月にオープンした金沢市の「彩の庭」ホテルは、外国人の比率は1~2割程度だがスタッフが英語で対応できない場合に備えて導入、「難しい単語が必要になった時に使い助かった」(橋上真由美副支配人)という。