中島厚志が読み解く「激動の経済」

2015年7月17日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

経済産業研究所理事長

1952年生まれ。東京都出身。東大法学部卒業後、75年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。パリ興銀社長、日本興業銀行調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミストなどを経て現職。著書に『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『日本の突破口―経済停滞の原因は国民意識にあり』『世界経済連鎖する危機―「金融危機」「世界同時不況」の行方を読む』(東洋経済新報社)など。

 また、失業率の水準も尋常ではない。1930年代大恐慌期のアメリカですら、失業率は24.9%(1933年)が最悪だったが(図表2)、ギリシャでは2012年7月以来現在に至るまで3年近く25%以上の失業率が続いている。

【図表2】米国(大恐慌前後)とギリシャの失業率
(出所)米国Bureau of Labor Statistics,欧州委員会
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 大恐慌的な経済状況にあって、ギリシャは精一杯財政健全化に努力しているように見える。ギリシャの努力が足りない好例として取り上げられる年金水準にしても、債務危機前の水準から見れば劇的に改善している。年金の所得代替率が依然OECD平均並みだとしても、2008年当時のOECD諸国中最高レベルから見れば大きく調整されている(図表3)。

【図表3】OECD:年金の所得代替率(2008年)
(出所)OECD
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 赤字が続く貿易収支も同様である。赤字とは言え、貿易収支は過去50年余りで一番改善しているし、経常収支は1980年以降初めて黒字化している(図表4)。さらに、実質賃金も大きく低下しており、ユーロの採用で域内通貨調整がないことを労働コスト低下で補って産業競争力強化を実現した形である(図表5)。

【図表4】ギリシャ:貿易収支・経常収支対GDP比の推移
(出所)IMF
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【図表5】主要国:実質賃金推移 (注)各国通貨ベース
(出所)Economist Intelligence Unit
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