また、失業率の水準も尋常ではない。1930年代大恐慌期のアメリカですら、失業率は24.9%(1933年)が最悪だったが(図表2)、ギリシャでは2012年7月以来現在に至るまで3年近く25%以上の失業率が続いている。
大恐慌的な経済状況にあって、ギリシャは精一杯財政健全化に努力しているように見える。ギリシャの努力が足りない好例として取り上げられる年金水準にしても、債務危機前の水準から見れば劇的に改善している。年金の所得代替率が依然OECD平均並みだとしても、2008年当時のOECD諸国中最高レベルから見れば大きく調整されている(図表3)。
赤字が続く貿易収支も同様である。赤字とは言え、貿易収支は過去50年余りで一番改善しているし、経常収支は1980年以降初めて黒字化している(図表4)。さらに、実質賃金も大きく低下しており、ユーロの採用で域内通貨調整がないことを労働コスト低下で補って産業競争力強化を実現した形である(図表5)。