ASEANスタートアップ最前線

2015年8月17日

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宮崎学 (みやざき まなぶ)

ベンチャーキャピタリスト

IMJ Investment Partners, Principal。2011年に株式会社電通に入社。以来、一貫してデジタル・マーケティング業務に従事。大手通販企業や金融機関のクライアント担当として、デジタルメディアを活用したマーケティング戦略立案と、事業成長にコミットした広告運用を得意とする。2015年、IMJ Investment Partnersに参画。ASEAN各国の投資案件発掘に加え、投資先の経営支援を行う。日本企業のアジア進出支援、アジアベンチャーの日本進出支援も担当。筑波大学にて学士(国際関係学)、東京大学にて工学修士(技術経営戦略学専攻)を取得。

※IMJ Investment Partnersは、シンガポールを拠点に、東南アジア全域で活動するベンチャーキャピタルです。本連載、並びにIMJ Investment Partners へのお問い合わせ・ご要望はこちら

VSシンガポールに情熱を燃やすマレーシア

クアラルンプール(iStock)

 一歩も二歩も先を行くシンガポールに、楔を打ち込もうとしているのがマレーシアだ。公用語としての英語の浸透率、教育水準の高さ、比較的安価な労働力を武器に、グローバル起業家輩出国を狙っている。

 2003年に設立されたシードアクセラレーターのcradleが政府系機関としては幅を利かせていたが、2015年、首都クアラルンプールから車で30分ほど離れたサイバージャヤに、新たにMaGIC(Malaysian Global Innovation & Creativity Centre)が登場した。

 このMaGIC、Ministry of Finance(財務省)肝いりのプロジェクトらしく、力の入れようがすごい。サイバージャヤの広大な敷地に、ワーキングスペースやイベント向けのホールに加えて、住居施設も建設してしまった。MaGICでは起業家向けのプログラムや支援制度がいくつかあるが、7月に始まったMaGICアカデミーに採択されると、4カ月間、無償で起業の仕方やチームビルディング、プロダクト開発やマーケティングなどを、国内外の一流講師陣に学ぶことができる。プログラム中は、ワーキングスペースや休憩スペース、住居も無償で利用できるとともに、わずかながら生活費としての手当も出る。正に至れりつくせりだ。 

MaGIC

 MaGIC自身は、Connectorに徹しており、投資をすることはしない。その代り、我々のようなアーリーステージの投資家と深いパイプを築き、マッチングイベントを頻繁に行っている。また、この11月には、MaGIC内にASEAN Center of Entrepreneurshipをローンチする予定だ。ASEANで起業する際の法律面、税制面など、様々な側面からワンストップで起業家を支援するそうだ。

 MaGICも、マレーシア国民だけではなく、世界中の起業家を対象にプログラムやこうした機関を設立し、サービスしている。シンガポールに流れている優秀な人材の引き留めだけではなく、世界中から優秀なタレントの獲得を彼らは狙っているのだ。

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