同僚に翻弄された1年
エキセントリックな態度に思えたが、奈央さんが特別に思い込みの激しいタイプだとか、異性関係が少なかった“疎い人”というわけではなさそうだった。
「20代までは普通に恋愛をして、10年付き合った男性もいました。だけど、その人は結婚できない人だったのであきらめようと思ったところで、同僚と親しくなったんです」
同僚とは1年前に同じプロジェクトチームに選ばれて知り合い、一緒に仕事をするようになった。仕事終わりにも、週の半分は2人で一緒にご飯に行き、去年の彼女の誕生日には2人でディズニーランドにも出かけた。
「好みのタイプではなかったのですが、明らかに私のことを好きなんじゃないかと思える態度を取られたので、だんだん気持ちが傾いていきました。だって、飲みに出かけた帰りに、普通にハグとかされていたんですよ」
そんな関係が1年ほど続き、奈央さんの誕生日がまた近づいた。
奈央さんは、誕生日を彼と“ちゃんとした関係”で過ごしたいと思い、誕生日の前にある「GWをどう過ごすの?」と聞いた。すると、「GWまでは忙しいから、落ち着くまで待って」と彼。
確かに、彼は別のプロジェクトもやっていて、そちらが忙しいのもわかっていたのから、仕方ないなと奈央さんは思った。実際、今年に入ってからは、2人で食事をする機会もなくなっていた。
「実は彼女がいる」と言われて
その後、彼が「落ち着いた」という彼女の誕生日の後に、2人でご飯に出かけて彼に、「これからどうするの?」と聞いた。「どうするの?」というのは、「ちゃんと付き合おうよ」という意味である。
しかし彼は「なんのこと?」と驚いて、「自分には付き合っている女性がいる」と急に告白してきたのだ。
「だけど、それっておかしくないですか? だって、去年まで彼はフリーで、その後も『付き合っている人はいない』と私に言っていたんですよ。それに、毎週のように飲みに行ってたんだから、私が単なる同僚なら、言うチャンスはいくらでもあったはずですよね。そのうえ、彼女ができたという半年前から今までだって、私には思わせぶりな態度をずっと取っていて……。私、彼が許せないんです!」
見返したいと考えた。