2024年11月22日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2015年10月11日

 私は間髪を入れずに不快感を露わにしてラテン野郎に冷たい軽蔑の視線を投げつけた。二人の従姉妹は固い表情で無視していたが、さらにラテン野郎が早口でしゃべりだすと、姉のほうが「あんた何の用なの。東洋の紳士に失礼よ。とっとと消えなさいよ」というような雰囲気の言葉を小気味よく投げつけた。ラテン野郎は両手を挙げて首をすくめるジェスチャーをしてすごすごと退散。

 従姉妹はその無様な様子に大笑い。私も心の中で快哉を叫んだ“ざまーみろ”と。

~サントリーニ島からパロス島へのフェリーボートにて~

米国のスーパーエリートの初任給

 5月13日午後1時 フェリーボートはサントリーニ島のフィラ港を出帆。フェリーはパロマ島、ナクソス島、ミコノス島経由でアテネの外港ピレウスに向かう。1万トン級の大型フェリーは観光客でごった返している。

 フィラ港の埠頭で一緒だった原宿可愛い系ファッションに身を包んだ中国娘4人とラウンジで再会。彼女たちは南京の大学生である。ひらひらしたリボンやフリルのスカートなど可愛い系ファッションアイテムは雑誌で研究してネットショッピングで日本より取り寄せたと全く屈託がない。南京事件は彼女達には今は昔の出来事なのだろうか。

ハーバードのスーパーカップルと

 少し休もうとソファに座ると向かい側に東洋系女子とラテン系男子のカップルがいる。話をしていたら二人はロースクールの先輩後輩と判明。男子は就職が決まり女子は学期末試験が終了したのでつかの間の休日をサントリーニ島で過ごした帰りとのこと。女子の話ではロースクールにおける勉強は毎日が地獄のようにハードな様子だ。むかし映画“ペーパーチェイス”でみたハーバード・ロースクールの試験地獄を思い出した。

 私が「まるで映画“ペーパーチェイス”のようだね」と言うと東洋系女子が「それは私たちのスクールの話よ」と答えた。彼らはハーバード・ロースクールのスーパーカップルであったのだ。女子は韓国系米国人、男子はプエルトリコ系米国人とのこと。

 彼ら曰く米国は学歴社会であるがトップの成績でないと良い就職先は見つからないとのこと。男子はマンハッタンの法律事務所(low firm)に就職したが、聞くと初任給は16万ドル(現在の為替相場で年棒約1900万円ほど)であると。しかし一年で結果を出さねば年棒がカットされ、解雇を示唆されるとのこと。またハーバード・ロースクールの卒業生で初任給が16万ドルはトップクラスではないと。投資銀行、コンサル会社では初任給は年棒20万ドル超とのこと。

 男子によると韓国系女子は最優秀レベルであり就職では幅広い選択が可能とのこと。女子に聞くといずれはワシントンで政府の仕事をしたいと野心的だ。優秀なエリート層が切磋琢磨する米国のきびしい競争社会の一端を垣間見たひと時であった。

⇒第9回へ続く

  
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