通信領域のMVNOという動き
通信の領域では、エリクソンやノキアといった基地局やバックボーンネットワークを構成するハードウェアレイヤーの通信機器ベンダーが、サービスレイヤーの事業者からのアウトソーシングでインフラを提供するケースが多い。
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そのグローバルなモデルに対し、日本ではNTTドコモなどのサービスレイヤーの事業者の主導で規格の策定や技術開発が行われ、通信機器ベンダーが製品化した通信機器を購入して、サービスレイヤーの事業者がインフラを保有している。日本のモバイル通信は、この垂直統合によって新しい技術がスピーディーに導入され、高速化と大容量化が先行した反面で、世界から孤立したガラパゴスといわれたモバイルネットワークが生まれてしまった。
しかし、LTE時代になって、日本でもグローバルな通信機器ベンダーと協調して規格の策定や技術開発が行われるようになり、少しずつインフラレイヤーが世界と共通になりつつある。そして、サービスレイヤーに特化した事業者(MVNO)が現れるようになった。
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グーグルは、今年4月にProject FiというMVNO事業を発表した。スプリントとT-モバイル(USA)の2つのキャリアの回線と、フリーのWi-Fiサービスを組み合わせて、スマートフォン向けの通話とデータ通信サービスを提供するという。利用できるスマートフォンが、グーグルブランドのNexus 6の一機種に限定されており、まだ実験的な取り組みであるように思えるが、端末と通信とクラウドを水平に統合することによって、スマホエコノミーの中に新たな変化を生み出そうとしているように見える。
次の変化はどこで起こるか
カメラも携帯音楽プレーヤーも携帯ゲーム機も、かつてハードウェアであることがあたり前であった多くのものが、スマートフォンのアプリになってしまった。そして、(スマートフォンのアプリではなく)ハードウェアでなければならない理由が明確なものが生き残った。
例えばGoProは、ビデオカメラの市場が世界的に縮小を続け、 2014年には1000万台を切ってしまったといわれている中で、対前年35%増の520万台弱を出荷している。売り上げの伸びは41%で、粗利率も45%に達している。日本のカメラメーカーも、アクションカムと呼ばれるこのカテゴリーの製品で後を追おうとしているが、なかなか追いつくことができない。