2024年7月14日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年11月10日

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軍事力も経済力にかかっている

 筆者達は、長期的には、国際秩序は技術力や経済力で規定されると述べています。確かに、しっかりした技術力や経済力が無ければ、国際秩序の構築に中心的役割を果たすことはできず、また、国際秩序を擁護するために必要な強い軍事力も維持できません。他方、技術力、経済力だけで国際秩序を守れる訳ではありません。ある国が強力な軍事力によって広範な経済圏を支配するようなことがあれば、経済力のバランス自体も変わって来ます。

 中国が南シナ海や東シナ海で着々と既成事実を積み重ねている中で、長期的には軍事力よりも経済力が大事であるとの観点からのみ、国際秩序のあり方を論ずるのは、やはり、一面的と言わざるを得ません。筆者達は、中国が南シナ海・東シナ海についての政策で、ある程度の自制も示していると論じていますが、その具体例は提示されていません。

 なお、米国輸出入銀行の業務再認可は、一部共和党議員の反対もあって、6月中に下院で可決されなかったため、7月以降、同銀行は新規の事業を停止しています。今月中に下院採決を目指す動きも一時見られましたが、その後の帰趨は定かではありません。

 米国政府が科学研究、インフラ投資、教育の分野への予算配分に優先順位を与える必要があることはその通りでしょう。

 中国とTPPのような協定を締結することを目指すのは、中国に国際的ルールを守らせる上でも有益ですので、米国としても推進すべきでしょう。

 米国のAIIB加盟については、米国が参加することの利益が明確ではありません。AIIBの今後の運用振りを見極めたうえで判断すべきでしょう。先般の習近平主席訪米に際し、ホワイトハウスの報道官事務所が米中経済関係についての詳細なFact Sheetを公表していますが、その中で、米中両国が二国間投資協定の締結交渉を推進すること、世銀、アジア開銀、アフリカ開銀、米州開発銀行等の強化に努めることなどが謳われています。このような金融面の協力関係の中で、利害が一致する案件があれば、AIIBとも協力すると言うことで、当面、十分ではなかろうかと思います。

  
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