オズボーン英財務相が進める英中経済関係強化について、9月22日付フィナンシャル・タイムズ紙社説が、国家安全保障と相互主義への配慮が欠如し、バランスを失している、と批判しています。
すなわち、オズボーン財務相は、英中貿易関係強化政策に疑念を抱いたことが無い。同氏は、2年前、英国ほど中国投資に対して開かれた国は西側には無いと述べ、最近、「黄金の10年」を作り出すことになる両国間の「黄金の関係」を強化する、とさえ宣言した。
オズボーンは、訪中した際、その目標を追求するためのステップをいくつか取った。オズボーンは、ヒンクリー・ポイント原発建設への中国の参加を確保するため20億ポンドの財務省保証を発表し、エネルギー相は、エセックスのブラッドウェルで中国が原発を建設することに障害は無い、と語った。これらは全て、オズボーン肝いりの「北部パワーハウス計画」に中国から相当額の投資を誘致している中で行われた。
中国からの投資に潜むリスク
オズボーンが中国との緊密な二カ国経済関係を求めるのは正しい。現在の脆弱さにも拘わらず、中国経済は既に世界最大規模である。中国の投資は歓迎すべきものである。しかし、関係を更に進める前に、よく考えるべきリスクがある。
一つの懸念は、中国企業に英国の原子力産業の中枢で操業するのを許すことは、英国の国家安全保障を脅かすかもしれないということである。ヒンクリー・ポイントとブラッドウェルの原発に関与しそうな中国企業は国営企業である。英政府は、重要な国家的インフラに外国を関与させるにあたり、慎重に事を運ぶべきである。
2年前、議会の諜報安保委員会は、BT(ブリティッシュ・テレコム)のHuawei社との提携について懸念を示し、このような機微なインフラ計画には十分な精査が必要である、とした。上記二つの原発計画にも当てはまる警告である。
第二の懸念は、英中関係における相互主義の欠如である。英国は、ほとんどすべてのセクターに対するあらゆる中国企業の投資に門戸を開放しているが、中国は、多くの産業部門を外国の投資家から遮断し、所有権に制限を課すという、厳しい法令を維持している。例えば、軍事化の進んだ新疆地域で英国企業が建設契約に関与することはあり得ない。