WEDGE REPORT

2015年11月12日

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 この金額が、年間でおよそ1億ドル、と言われる。2012年から14年の3年間でテスラが受け取ったクレジット総額は2億9500万ドル。これはカリフォルニア州の話で、同様の排気総量のバーターを行う州を合わせれば、テスラの収入は5億ドルを下らない、という試算もある。

 さらにカリフォルニア州は「テスラの持つグリーン技術により」同社に1億7300万ドルの法人税控除まで与えている。これらが重なり、「イーロン・マスクは節税の指南者」とまで呼ばれるのだ。

実用化されていない技術に対価を払うべきではない

 ところが、このグリーン技術に疑問の声が上がっている。単にゼロ・エミッションである、というだけではなく、テスラは「バッテリー・スワップ」を可能にした、と申告。つまり充電の切れたバッテリーを丸ごと交換することで、充電時間なしに走行が続けられる、というのがテスラの主張だ。

 カリフォルニア大気汚染防止局(CARB)では「実際にテスラの工場でこの技術を確認した」として税控除を決定したが、これが2012年のこと。しかし技術は存在しても、このバッテリー・スワップは実際にユーザーには提供されていない。カリフォルニア州内のスワップステーションはわずか1カ所で、ほぼ稼働してない、と指摘された。

 これにより今年の夏、CARBはテスラに与えられていたクレジットのうち、エキストラで認められていた3つを取り消すと発表した。

 それでも批判は止まない。先鋒となっているのはカリフォルニア州議員、テッド・ゲインズ氏。「実用化されていない技術に対し対価を支払うべきではない。CARBは自動車市場に大きな歪みをもたらした」と批判。

 テスラは夏以降、スワップステーションの宣伝を始めたが、ユーザーは「スワップにかかる費用は80ドル。一方でテスラは無料のスーパーチャージステーションを提供している。30分でチャージできるなら、80ドルを支払う価値はない」と関心を示していない。

 車の販売だけではまだ経営が赤字のテスラにとって、タックス・クレジットが減らされるのは痛手となる。「抜け穴」報道で税務署もセクション179の見直しを検討する動きに入った、という報道もあり、テスラの立場はやや苦しいものとなっている。

  
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