世界の舞台からの退場は思い留まるも…
社説は、「レヴュー」が伝統的な保守党の国防政策に立ち戻ったことを歓迎しています。同時に5年間の怠慢が害をなしたと慨嘆していますが、このことに対するキャメロンの弁明と思われるものが「レヴュー」の序言に書かれており、5年間の財政と経済再建の努力の結果、国防に更なる投資をすることが可能になった、としています。
もう一つ、キャメロンが「レヴュー」の背景として挙げているのは、言うまでもなく、ISISの台頭、中東の不安定化、ウクライナの危機、サイバー攻撃、パンデミック(中国には全く言及がない!)によって世界は5年前よりも危険で不確実になったということです。ともかく、空母の2隻体制の維持、トライデント潜水艦4隻の更新、海外遠征部隊の増強など、英国がどうやら世界の舞台から完全に降りることは取り敢えず思い止まったらしいことは歓迎すべきことです。
「米国が今やフランスの方が頼りになる」と思っているかどうかは分かりませんが、社説が言うように、重要なことは米国がパートナーとして英国に信頼を寄せ得るかどうかです。シリアにおけるISISに対する空爆作戦に参加しない決定をするようなことがあれば、米英関係の先行きは相当暗いものにならざるを得ないところでしたが、議会が空爆への参加を承認したことで、何とか踏みとどまった感があります。
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