LCC人気が高まるにつれ、ユナイテッド、アメリカン、デルタなどの大手航空会社も対抗するための大幅な値下げに踏み切り、15年12月の航空券料金は前年比で25%も下落、15年全体では5%の下落となった。この傾向は16年も続く。
一般に上記の御三家を含む大手航空会社は「ビジネスアカウントを保つことでLCCに対し優位性を持つ」と言われてきた。大手企業は会社として出張などの航空券を一社に絞ることが多く、大手企業の顧客が大手航空会社に集中するため、多少は高くても顧客が減少することはなかった。
しかし、例えばサウスウエストならばロサンゼルスーサンフランシスコの往復航空券が時期によっては100ドル台となる。この安さを武器に、LCCが企業アカウント獲得に乗り出しており、大手はこれに対抗せざるを得ない。
ビジネスエグゼクティブを狙い撃ちするサービス
そこへ、サーフエアのようなビジネスエグゼクティブを狙い撃ちするサービスの登場である。プライベートジェットのような気分が味わえ、混雑する空港セキュリティチェックを通る必要もない。シリコンバレーのIT企業を中心に、じわじわと顧客が増えている。
価格面ではサーフエアにはまだ割高感がある。特に大手、LCCにつられて中間の航空会社も価格競争に参入し始めた。今後「安い航空券が簡単に手に入る」のが普通になれば、サーフエアは苦戦を強いられるかもしれない。しかし価格競争が落ち着き、「乗り放題」が得だと感じられればサーフエアには大きなビジネスチャンスがある。今後似たようなサービスが登場する可能性もあり、米航空業界は新たな競争時代に突入しそうだ。
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