WEDGE REPORT

2016年1月7日

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パートナーに選んだLG 

 モービルデバイスだから、スマートホームとも連携する。先にフォードがアマゾンとの提携を発表したが、VWがパートナーに選んだのは韓国LG社だ。スマホ、パソコンから家電製品一般を生産するLGはスマートホームの開発にも熱心だが、VWのバディはボイスコマンドによりLGのスマートホームネットワークと連携、例えば「冷蔵庫の中にビールの在庫はある?」というようなコマンドにもスマートホーム経由で車が答えてくれるという。

リチャード・キム氏

 会見にはLGのリチャード・キム氏が参加したが、「エコシステムとしてのスマートホームを考える。留守中に車からロボット掃除機で家の中をきれいに、というコマンドにも対応し、トータルでの節電、住環境の向上を目指す」という。

 またモービルデバイスに欠かせないのがドアロックシステムだが、これにはドア・バード社が連携。ドア・バード社はインターネットに対応するドアベルを生産する会社だ。これにより、車の中にいながら家に来客があった場合、ネットを通して来客の顔を確認し、インターフォンで対応できる。

 もうひとつ面白い機能は、バディの後部トランクの下部は引き出し式になっており、例えば不在で車が家に停めてある場合、宅配業者がデバイスを使ってこの引き出しを明け、荷物を車に収納することも可能だという。

 バディは2020年頃には実現可能なモデルとして現在開発が進められている。宅配ボックスになったり人々が集う場になったりスマートホームのコマンドセンターになったりと、遊び心がありながら夢の膨らむコンセプトと言える。

 ただし、VWにはこうしたコンセプトを進める前に解決すべき問題がある。ディエス氏も会見の最初と最後をディーゼル問題の謝罪に充てた。2016年はこの問題解決を何よりも優先し、そこからニューVWの前進がようやく始まる。

消費者に残る冷ややかな目

 米国ではクリーンディーゼル人気はそれほどではなく、今回の不正に関わった車は50万台程度だ。しかしクリーンディーゼルを積極的に推進していた欧州では対象車は850万台。現在欧州ではほぼすべての車への対応を開始しているが、米国では今後EPAやCARBと協議しながら解決策を推し進める必要がある。

 トヨタのプリウス加速問題、GMのイグニッション問題、ホンダのエアバッグ問題と、米国では自動車メーカーの問題が相次いだ。そのたびにメーカーに課される罰金は倍々に増えており、今回のディーゼル問題では天文学的数字になるのでは、との予測がある。さらに政府との補償問題を終えても米国では消費者による集団訴訟が待ち構えている。

 これまで「クリーンディーゼルは超低排気で燃費も良く環境問題に適した車」と主張していたメーカーが、突然「EVこそがニューVWの答え」と考えを変えたことに、米国ではまだ冷ややかな目もある。再生VWが消費者の信頼を勝ち取り、新しいモービルデバイスのリーダーになれるかどうかはまだ未知数だ。

  
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