今回のCESでこれまで米国での知名度は低かったが、今後かなりの注目を集めそうな企業として浮上したのが、中国の「Letv」ではないだろうか。まず、カリフォルニアに2014年設立された新規EV企業、ファラディ・フューチャーとの関係が取りざたされた。Letvはファラディが子会社であることは認めていないが、かなりの出資を行ったことは明白で、ファラディ社の重役にもLetv関係者が名を連ねている。
Letvは「中国のネットフリックス」と呼ばれ、アップルTVに対抗するデバイスを製作していることでも有名だ。しかしそれだけではない。コンテンツビジネスから現在はPC、携帯など様々なデバイスを販売、中国では上海汽船との提携でEV開発に乗り出し、ついには自社で未来的なコンセプトEVまで製作中だ。このコンセプトカー「Le Supercar」はすでにスケッチが公開されており、今年4月の北京オートショーに登場する予定だ。
しかも、米クアルコム社と携帯ビジネスで提携、クアルコムが開発したチップセット、「スナップドラゴン820」を搭載する世界初の携帯電話「Le Max Pro」をCESでデビューさせた。これはクアルコムの記者会見で発表され、「米国に上陸か」と注目されている。
さらに、車搭載型コミュニケーションシステムでは、自社製EVがまだ完成していないこともあり、アストンマーチンと提携してモニター、ソフトウェアコンテンツなどを提供している。米ではアップル社が「アップルカー」を開発中、との噂があるが、Letvはコンテンツビジネスからハードウェア、さらに米EVへの投資、自社のEV生産へ、とアップルの一歩先を行く企業なのだ。
Letvのネットショッピングサイトである「Le Mall」のディレクターで、コンテンツビジネスのエキスパートでもあるヘンリー・シャオ氏に話を聞くことができた。同氏は米国で教育を受け、Letvのカリフォルニア支社に勤務していたが、自ら進んで中国に帰国し、現在は北京の本社に勤務している。