IoTというものを考えるとき、大切とされるのはユーザーインターフェースのあり方だ。今回のCESでも実に多くの企業が「ジェスチャーあるいはボイスコマンド」によるインターフェイスに言及した。しかし実際のデモンストレーションで見せられたジェスチャーとは、たとえばモニターの前で手を振る仕草をした時にモニターが切り替わる、という程度のものだった。
想像を超えたBMWのデモ
BMWがジェスチャーモーションのデモンストレーションをする、と聞いて屋外に設置された特設ブースを訪れてみたが、期待していたのはやはり上記のような簡単なジェスチャーモーション、せいぜいドアの前に手をかざすと自動的にドアが開くといったもの、と想像していた。
ところが、BMWのデモントレーションは良い意味で期待を裏切るものだった。自動運転システムと連動し、車の近くで「Go!」の動作をすると、車が勝手にパーキングスペースを見つけて自動パーキングを行う。またパーキング中の車の近くで「Come!」の動作をすると、車が自動的にパーキングスペースから出てドライバーの前で停車する。もちろん車の始動、停止もこの動作ひとつで行える。
https://www.youtube.com/watch?v=Cem3PWbtFa4
BMWによると、これはコマンドを送る人がスマートウォッチなどのデバイスを身につけており、そこからの信号をインターネットを通して車が感知することで可能となる。
実際にはかなりの距離があってもジェスチャーコマンドに車は反応するが、安全面から現在は数メートルに制限している。しかし自動運転システムが進めば、例えば会社にいて自宅に停めてある車をジェスチャーで呼び出すことも可能なのだという。
サムスンがBMWと提携し、同社の小型EV、i3とスマートホームとの連携を可能にする、と発表したが、BMWはこの他ドイツ国内ではドイチェ・テレコムと提携、ジェスチャーコマンド、スマートホームとの連携を進めている。
また、BMWのアイデアで面白いと思えたのは「コネクテッド・ミラー」だ。玄関先などにかけられる大型の姿見が、インターネットと連動したコマンドセンターになっている。このミラーを通してガレージに停めてある車にコマンドを送り、家の前に車を移動させることができる。ドライバーは家の前に出ればすぐに車に乗り込める。また、あらかじめミラーを通して天候や車のバッテリー残量をチェックしたり、ナビを設定することも可能だ。