Wedge REPORT

2016年1月17日

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チームの育成よりも普及活動に専念

 それよりも宮田氏が力を入れているのは、ヒップホップダンスの普及活動である。地方で教えることはもちろん、世界的なダンスコンテスト『UK B-BOY CHAMPIONSHIPS』の日本予選を主催したり、福岡出身のメンバーを中心に小学生から高校生約20名で構成されるブレイクダンスチーム『九州男児新鮮組』のプロモーションも行っている。

 今月末の1/31(日)には、東京都の大田区産業プラザで『UK B-BOY CHAMPIONSHIPS』の日本最終予選が行われ、勝ち抜けば、ロンドンで行われる世界大会に日本代表として参戦することになる。全国6か所で行われた地方予選を見てきた宮田氏は、大会の面白さをこう語る。「DJが選曲した曲で、対峙するダンサーが即興で交互に踊り、どちらがより凄いのか(音に合っている、技術力が高い、チームワークがいい等)を競い合う、4人以上のチームで対戦するクルーバトルが一番盛り上がるんです。クルーバトルの予選会は全国でこの大会しか行っていないので、各地から勝ち抜いたチームの見ごたえのあるダンスが見られます」

 また、よりダンスが広まり、才能のあるダンスチームを推していくことにつながるのならと、ダンスチームのプロモーションも行っている。九州男児新鮮組は、この『UK B-BOY CHAMPIONSHIPS』2010のKIDS部門で初優勝。宮田氏は、「すごすぎて涙が出てきたんですよ」と振り返る。

 「メンバーはまだ4人で、ブレイクダンス世界大会R-16で大会史上初の3連覇を飾ったISSEYがまだ中1だったんです。今、高校3年生で、世界からも呼ばれるようなレベルになりました。でもその時点で相当すごくって、今では、下の子たちが増えて、20名ほどのグループに。昨年は、アメリカで開催された大型ダンスコンペティション『WORLD OF DANCE』のユース部門で優勝し、会場を一番湧かせたオーディエンス賞と二冠を獲得したんですよ。彼らは、グループで踊ってもすごいんですが、ソロでも踊れるんです。一つ一つの集合体なんですよね」

プロモーションを手がける九州男児新鮮組。撮影では宮田氏自らダンスやポージングにアドバイスをすることも。(写真提供:『BARFOUT!』)

ヒップホップカルチャーを広めたい

 「最近はダンスも習い事として確立していて、スタジオに来る小中学生も多いです。中には熱心にレッスンを沢山受けさせたり、練習の仕方を先生に聞かれる保護者の方もおられます。もちろん、そういう姿勢がないとダンスは上手くなりませんが、やはり『ダンスは音楽に合わせて踊る』ということをしっかりと認識して欲しいと思います。

 私はずっとイメージでヒップホップダンスを理解していましたが、ある時決心して、理論的に説明できるようになろうと思いました。例えば『ノリが違う』っていう雰囲気で捉えられることも、『音楽がこうなってるから・・・』と言葉で説明できるようになりました。3年ほどかかったのですが、ヒップホップについて、たくさん考えたし、多くのダンサーとも議論しました。NYでヒップホップのダンスを作ってきた人たちとも話をして、一つ一つ疑問を解消してきました。

 その中で思うのは、やはりヒップホップにはヒップホップのカルチャーがあるということです。それぞれのダンスにはそれぞれバックグラウンドがあり、独特な音楽があり、それに合う踊り方と踊りがあります。これが文化です。僕は、ヒップホップから多くのことを教わってきましたし、このカルチャーの素晴らしさと、かっこよさを自分なりに咀嚼し、理解してきました。だから、この素晴らしさを、誤解無く普及させていきたいという気持ちがあります。そして、理解しあった人たち同士で共有する時間や喜びをもっと広めていきたいと思っています。中学の授業で出会うダンスが、子どもたちの人生の喜びが一つ増えるきっかけになってくれれば思います」

  
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