2024年12月4日(水)

家電口論

2016年2月6日

ミーレ型の経営が多い日本橋の老舗会社

 実は、ミーレの取材を進めている内に、思い出した日本の会社があります。
有名ですが、家電メーカーではありません。日本橋の老舗会社です。一社ではなく、数社ですが、二社ほど例を挙げてみます。

 一社目は、鰹節の「にんべん」。創業1699年。鰹節の美味さは、日本でも一、二を争う品質です。

 二社目は、フルーツの「千疋屋」。千疋屋は、日本橋、京橋、銀座と3社ありますが、私のいうのは、京橋、銀座にのれんわけした、日本橋の総本店のことです。創業1834年。ここのフルーツも半端ではありません。ドバイのお金持ちも通うそうです。

 これらの老舗企業の歴史を紐解くと、長い歴史ですからね、何度も危機に陥っています。話に出てくるのが、明治維新、関東大震災、東京大空襲。価値観が変わったり、店舗が全てなくなったり、大変です。当然、拡大、縮小を繰り返しながら、今に至っています。

 話を聞くと、よくまあと思うほどのアイディアの宝庫です。例えば「にんべん」は、世界初の商品券を、天保元年(1830年)に出しています。「フレッシュパック」も業界初です。「千疋屋」は「フルーツパーラー」ですね。

 で、双方共に、規模は大きくありません。従業員は、200〜300人規模です。そして規模は追わないとのことでした。特に千疋屋は徹底していますね。
千疋屋のメインは、果物。高級果物でも必ず腐ります。規模を追うと、どうしても売れ残りが出てくる。自分が有するフルーツパーラーで対応できる内はイイのですが、余るとどうしようもない。このため規模は追わないそうです。

 では規模を追わない代わりに、どうするのかというと、長くお付き合いしてくれるお客様を作るのです。そのために、自分たちの品質(考え方)を分かってもらう努力をしています。千疋屋の「パーラー」は好例ですし、にんべんも「ダシや」を出し、皆さんにいいダシの味をアピールしています。自分の扱うモノをよく踏まえた上での対応です。

 ミーレと全く一緒というわけではありませんが、かなり似ていると思いませんか?

ミーレ社からの手紙

 実は、それでもと、ミーレの本社に聞いてもらったことがあります。

 それは「株式会社化の話は出たことがないのか?」という質問です。「家」というものは、人が代替わり(ミーレ社は4代目)ますので、一人位儲けに走る人がいるかなぁと思ったのですが・・・。

 答えは「一度もない。」との事でした。ここまで行くと見事なものです。

 その文章に添えられた、最後の一文は、是非皆さんに。

“We at Miele do not think in quarterly reports, but in generations.”
「我々ミーレが念頭に置いているのは四半期決算ではない。次世代である」


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